金融庁はこのほど、金融機関に対する新たな検査方針を発表した。これまで金融機関のお金の貸し出し(融資)について細かく口を出してきた部分を、新方針では控える方向で、金融機関の自主性を尊重する。この流れは歓迎すべきだが、そもそも民間の活力を奪う役所の「規制」そのものをなくしていくべきだ。

発表などによると、新しい方針では、金融機関の自主性を尊重。成長の見込める企業への貸し出しを増やすよう促す方向で見直す。また、中小企業などへの金額の小さい貸し出しについては検査の対象外として、その企業の経営が健全か否かの判断は、金融機関に委ねる。

この検査は、「金融庁検査」と呼ばれており、金融庁が、銀行や証券会社が不良債権を出さないよう見張るもの。検査官が、各金融機関を訪れ、関係書類をチェックしたり、担当者から話を聞くなどして、お金を貸した先の企業の経営状況、貸した金融機関の経営状況などをチェックする。メガバンクには毎年、そのほかの金融機関には2~3年に1回の頻度で行う。(参考・7日付読売新聞)

この検査については、大人気テレビドラマ「半沢直樹」の中でも描かれている。主人公のエリート銀行員・半沢直樹が勤める東京中央銀行が、資金を貸した大手ホテルが「不良融資先」と分類されるか否かをめぐって、金融庁のオネエ系検査官・黒崎駿一と対決している。

だが、そもそもなぜ役人が民間企業の経営をチェックする必要があるのか。たとえば、トヨタ自動車の経営に対して経済産業省が口を出すべきではないし、正しい経営判断ができるとも思えない。また、金融機関が創業時のマイクロソフトのようなベンチャー企業の将来性を見越して貸したお金について、金融庁が正しく判断できるとも思えない。

百歩譲って、判断ができたとしても、役人が民間の経営にあれこれ口を出すべきではない。逆に、検査があることで、金融機関はそのための準備に時間や人をとられ、大きな無駄、もっと言えば“損失"を被っている。検査がなくなれば、金融機関はそれにあてていた時間や人を他の分野に投資し、利益を生むこともできるだろう。

金融庁検査に代表されるような、民間活力を奪う役所の「規制」については、基本的に撤廃すべきだ。役所は国民を信頼して、国民の自由を拡大する方向で動かなければいけない。そうすれば、民間の経済活動が活発になり、最終的に国民からの税収が「倍返し」、いや「10倍返し」となって返ってくるだろう。(格)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『政治革命家・大川隆法 ―幸福実現党の父―』 大川隆法著

(同書に、「『規制庁』が増えると民間活力が奪われる」などの言及がある)

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=982

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