金融庁が銀行への統制的な検査方針を大きく見直すと、17日付日本経済新聞が報じた。企業に融資するかどうかの査定の多くを各銀行の自由裁量にゆだね、銀行に課されている検査項目も大幅に減らす。金融庁は今月中に方針を正式発表し、秋にはメガバンクから適用を始める予定だ。銀行はよりリスクを取って融資しやすくなるため、新規貸し出しの増加、新事業の誕生など、経済成長を後押しすることが期待される。

これまでは、銀行が融資先候補の企業を査定する際、金融庁は多くの検査項目を画一的に指定してきた。目的は甘い審査による「危ない融資」を防ぎ、不良債権を減らすことだ。金融庁の前身である金融監督庁が1998年に発足して以来貫かれてきた方針である。そもそも、金融監督庁発足の大きな理由が、バブル崩壊後に残った銀行の不良債権処理であった。

しかしこの監督体制が、日本に新事業や産業の育ちにくい土壌を生んだ。不良債権の心配ばかりする金融庁の規制下では、たとえ技術力やアイデア、成長性があっても、現時点では赤字の中小企業やベンチャー企業にはお金を貸しにくい。これでは銀行が本来の意義にかなった仕事をしているとは言えない。

銀行の使命に関して、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、著書『常勝の法』の中で次のように述べている。

「銀行業としての付加価値は何であるかといえば、まだ海のものとも山のものとも分からないような小さな企業等に融資をし、それを育てることです。その結果、それを大企業にすることができたら、付加価値を生んだことになります。無から有を生んだわけですから、それは銀行に力があったということになるでしょう」

大川総裁は金融庁の廃止も示唆している。真のバンカー(銀行家)の使命は、リスクを取って有望な事業に投資することである。果実の実った木にばかり水を撒いて、芽を出しかけた種は放っておくようであれば、銀行が付加価値を生んでいるとはいえないのだ。

銀行が創造的な仕事をする素地となる、このたびの金融庁の方針転換は歓迎されるべきだ。実際に各銀行が、リスクをとって新事業・新産業を育てていくという気概、「バンカー・スピリット」を発揮することが期待される。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『常勝の法』 大川隆法著

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