政府の社会保障制度改革国民会議は5日、最終報告書を提出した。高所得の年金受給者への税優遇を減らすなど、高齢者の負担分を増やす案などが出ている。6日付各紙が報じた。

社会保障給付費は増え続けており、2010年には100兆円にもなっている。しかし保険料収入は伸び悩んでおり、その差額を埋めるための国からの支出は、毎年1兆円規模で増えている。それに対して今回の改革案では、例えば74歳以上の高齢者の窓口負担分を1割から2割に増やすと、国が負担する年間2000億円分のうち、200億円分がまかなえるようになるという。

これらの対策では社会保障費の財源が足りないため、同時に消費増税が予定されている。5%の消費税率増で、単純計算で12兆円の税収増になるという。しかし、5%の消費税率増では、「焼け石に水」だという意見も多い。

米アトランタ連銀のブラウン氏によると、5%の消費税率増でまかなえるのは4年間だけで、2017年には、少なくとも32%にまで上げる必要があるという試算を出している。(「日経ビジネスオンライン」7月11日付記事)

消費税の増税を社会保障のために行うということは、次々と「重税」を課されることを国民が認めるということだ。政府ははっきりとその試算を国民に示し、重税を取るのか、それとも自助努力型の社会を取るかの選択をきちんと問うべきだ。それなくしての消費税増税論は、単なる目先のすり替えに過ぎない。

国民の意識としても、重税を前提とする「老後の生活は国が何とかしてくれる」という考え方から、「老後は自分や家族、地域で守る」という、自助努力型に切り替えていく時期だろう。

こうした視点から、幸福実現党は、主要政策のひとつとして「生涯現役人生」を打ち出し、「高齢者の雇用や活躍の場を拡大」「相続税・贈与税の廃止」「地域の絆を強化」など、高齢者が長く現役で活躍でき、家族と暮らしやすくするための政策を掲げている。この中には、介護ロボットの開発による産業育成なども含んでいる。

高齢者がいくつになっても活き活きと働くことができ、かつ、その手助けをするロボットなどの産業が成長する。こんな「未来社会」に、消費増税なしでたどり着きたいものだ。(居)

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