中国共産党幹部の資産公開を要求して、国家政権転覆扇動容疑で拘留されていた江西省の女性人権活動家・劉平氏が正式に逮捕されたと、中国人権民主化運動情報センターが3日に報じた。同センターによれば、この罪に問われた場合、ほとんどの人に実刑が科されており、劉平氏はノーベル賞を受賞した劉暁波氏と同様に10年以上の実刑が科される可能性があるという。

劉平氏は4月21日、自宅近くでプラカードを持ち、習近平・党総書記ら7人の常務委員の資産公開を訴え、その1週間後から公安当局に拘束されていた。時事通信(電子版)によれば、劉氏と同様の訴えをした活動家は、先月初めの時点で、中国全土で少なくとも15人が拘束されていたという。

党役員の資産公開を要求しただけで、なぜ罪に問われるのだろうか。それは、役員らが汚職や賄賂などで不自然に増やした資産を公開したら、民衆が暴動を起こして共産党体制が崩壊しかねないと、党が考えているからだ。中国では現在、年間20万件以上のデモや暴動が起きており、軍事費よりも国内の治安維持にかける費用の方が高くなっている。

しかし、中国政府が国内の情報を統制する一方で、欧米では中国共産党幹部の資産情報が次々に暴露されている。

昨年6月には、習近平氏一家の蓄財が少なくとも3.76億ドルに上ると米ブルームバーグが報じたほか、昨年10月には米ニューヨーク・タイムズ紙が、1998年の副首相就任以来、温家宝・元首相の一家の資産が約27億ドルまで増えたと伝えている。

これらの報道に対し、中国政府は両社のウェブサイトを中国から閲覧できないようにしたという。また両社とも、中国からと見られるサイバー攻撃を受けたと発表している。

活動家の逮捕やネット遮断など、中国政府は党幹部の資産情報の隠ぺいに必死だが、中国国民には、為政者についての情報公開を求める言論の自由さえ与えられていない。民主主義国家である日本をはじめとする国際社会は、情報公開を求める劉氏のような人たちを応援するべきだ。(居)

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2012年10月30日付本欄 党幹部の蓄財をバラせば独裁中国は自壊する ネットで出回る「ヒラリー長官の警告」

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