小笠原諸島・南鳥島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)の水深5600~5800メートルの海底に、高濃度のレアアース(希土類)が存在していると、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と東京大学の研究チームが突き止め、21日に発表した。

レアアースとは、電気自動車などのモーターや省エネ家電製品、スマートフォンなどに使われている希少な金属。日本は多くを中国に依存しているため、供給不安や価格高騰の懸念がある。

今回発見された鉱床は、最大6600ppmで、世界最高濃度。日本の年間消費量の数百年分がまかなえるという分析もある。ちなみに、現在世界生産の9割以上を占めている中国の鉱床は300~500ppmだ。現時点で水深5000メートルを超える深海での採掘技術が開発されていないという課題もあるが、採掘に成功すれば、レアアースを国産で賄える可能性がある。

鉱床発見は朗報だが、日本は中国の動向に注意する必要がある。中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、その海底に資源があると判明したためだと言われている。同様に南鳥島でも、中国がいずれ領有権を主張してくる可能性は否定できない。

南鳥島が、中国が覇権を握ろうとしている西太平洋に位置している点を見逃してはならない。 中国はハワイを境に太平洋を米中で二分する「太平洋分割」を本気で考えており、昨年には空母「遼寧」を就航させたほか、国産の原子力空母も建造していると言われている。現在、南鳥島には自衛隊と気象庁の職員が駐在しているものの、中国の太平洋進出が進めば、尖閣諸島と同じ状況が起きかねない。

南鳥島のレアアースは日本経済にとって富の源泉になる。そのため日本は、その富を守ることも考えなくてはならないだろう。近い将来、中国が進出してくる可能性も見据えて、早急にレアアースの採掘に着手するとともに、防衛手段も検討すべきだ。(飯)

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