環境省が8日に発表した子供への甲状腺検査の結果で、原発事故があった福島よりも、それ以外の地域の子供にしこりやのう胞が多く見つかったことが分かった。「福島は安全」という事実を裏付けるデータである。

検査は、青森県弘前市、山梨県甲府市、長崎県長崎市の、3歳から18歳の約4300人を対象に実施。そのうちの60%の子供にしこりやのう胞が見つかった。しかし、福島県がこれまでに18歳以下の子供36万人を対象に行った検査では、しこりやのう胞が見つかった割合は40%にとどまっている。

今回の検査は、原発事故による被曝の影響を探るためのもので、「このような大規模かつ制度の高い調査は世界初の試み」(環境省HP)だが、これによって福島の子供たちが特別に健康を害するわけではない、ということが証明された形だ。

チェルノブイリの原発事故では15人の子供が甲状腺がんで亡くなったため、福島の事故後、多くのマスコミが「福島の子供たちが危ない」と報じて恐怖心をあおった。だが、今回の検査でも明らかなように、福島の事故による放射線の被ばく量は人々の健康を害するレベルではなかったのだ。

ちなみに、チェルノブイリで子供たちが亡くなった原因は、汚染された牧草を食べた牛からしぼった牛乳を飲んだためである。専門家の調査で、福島の人々の放射線の被ばく量はチェルノブイリの1000分の1以下であることが分かっており、さらに日本では出荷規制が行われたため、高線量の牛乳を飲む危険性は回避されている。

当時の民主党政権やマスコミは、数ミリシーベルトの被曝線量で大騒ぎし、その余波で現在も、福島の人々の間にはどんなに少ない被爆でも怖いという気持ちが強く、過剰な土地の除染を求める声も止まない。2年も経つのに復興がなかなか進まないでいる。

そもそも、国連科学委員会(UNSCEAR)や国際保健機構(WHO)、国際放射線防護委員会(ICRP)や国際原子力機関(IAEA)など、信頼性の高い国際機関は「年間100ミリシーベルト以下の放射線による、人体への影響は認められない」としている。

つまり、福島に存在するのは、風評被害ではなく報道被害であり、福島の復興を止めているのは、多くの人々が心に抱く「恐怖心」と言える。

「放射線の恐怖」を煽り続けてきたマスコミは、これまで「危ない」と報じてきたのと同じぐらいの紙面や放送時間を割いて、今回の甲状腺検査について報じ、声が枯れるまで国内外に向けて「福島は安全だ」と訴え続ける義務がある。(格)

【関連記事】

2013年3月1日付本欄 WHOが「福島原発周辺のガン増加の可能性は低い」 強制避難を解除せよ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5690

2013年3月1日付本欄 除染土の仮置き場が足りない? そもそも除染自体が不要では

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5689