国連安全保障理事会は7日(日本時間8日未明)、北朝鮮の核実験を非難するとともに、同国に対する制裁を強化する決議案を満場一致で採択した。核・ミサイル開発につながる金融取引の凍結や、禁輸品を運搬している疑いがある船舶の検査を義務付けるとともに、決議違反の恐れがある北朝鮮の外交官の監視などを盛り込んだ。

これに対して北朝鮮は猛烈に反発しており、朝鮮戦争再開も辞さないという姿勢を強めている。

北朝鮮外務省は7日付の声明で、「米国が核戦争の導火線に火をつけようとする以上、朝鮮革命武力は国の最高の利益を守るために侵略者の本拠地に対する核先制攻撃の権利を行使することになるであろう」と、核攻撃を示唆してアメリカを威嚇。「第2の朝鮮戦争を避けることが難しくなった」と踏み込んだ。

北朝鮮は、すでに追加のミサイル発射や核実験の実施をほのめかしており、近海に船舶や飛行機の航行禁止区域を設けている模様で、短距離ミサイルの実験などを行う兆候と見られている。5日には、米韓の合同訓練「キー・リゾルブ」が始まる11日から、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化すると宣言した。挑発の度を強める北朝鮮は近く、大規模な軍事演習も挙行すると見られている。

朝鮮半島は一触即発の状態であり、挑発や偶発的な戦闘が戦争へとエスカレートするリスクもある。組閣でつまずいた韓国・朴槿恵政権の、有事対応の能力が問われるが、日米両政府も危機感を持って万全な準備を行うべきである。

しかし、アメリカではオバマ大統領が財政問題にかかりきりになっている。また、アフガニスタンとイラクでの戦争を終わらせたと喧伝し、9万人の死者を出しているシリア内戦に介入しようとしない大統領が、いざ朝鮮半島での有事の際に速やかに対応を行う用意があるのかは、未知数と言える。

日本も他人事ではない。アルジェリア人質事件で自衛隊による在外邦人救出が問題になり、与党のプロジェクト・チームが政府に対する提案書について大筋で合意に至った。しかし、北朝鮮に対して憲法9条の適用を除外する解釈改憲など、国防体制を固めるための抜本的な手段についての議論は聞こえてこない。

戦争は誰も望まないが、「Hope is not a strategy(希望的観測は戦略ではない)」の言葉どおり、望まないからといって起こらないわけではない。日米間は、万が一、第二次朝鮮戦争が起こった時のための備えを進めておく必要がある。

【関連記事】

2013年3月6日付本欄 北朝鮮が朝鮮戦争の休戦協定を「白紙化する」と宣言 38度線で高まる緊張感

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5707

2013年2月16日付記事 「"第2次朝鮮戦争"が勃発!?」エドガー・ケイシーによる衝撃の未来透視リーディング

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5612