釈量子の志士奮迅 世の中は変えられる 特別編[第12回] 北京、瀋陽、上海、広州――中国最新レポート

釈量子の志士奮迅  世の中は変えられる 特別編[第12回] 北京、瀋陽、上海、広州――中国最新レポート

 

2013年4月号記事

 

幸福実現党 女性局長

釈量子の志士奮迅  世の中は変えられる 特別編[第12回]

北京、瀋陽、上海、広州――中国最新レポート

 

広州にある「南方週末」の本社前に立つ幸福実現党の釈量子・女性局長。

自由なき中国に未来はあるか

 

 華々しい経済成長を遂げる一方で、厳しい言論統制で自由がないと言われる中国。その実情を知るべく、現地に飛んで人々に話を聞いてみました。

 

幸福実現党 女性局長

釈量子 (しゃく・りょうこ)

幸福実現党女性局長。1969年東京都生まれ。國学院大学文学部史学科卒、大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。釈量子公式ブログ http://shaku-ryoko.net/

 

 

 

北京では異常なまでに空気が汚れており、喉や目がすぐに痛くなる。

中国の書店では軍事コーナーが大きな面積を占めている。

古本屋では『国富論』と『資本論』が並び、唯物論国家らしく量り売りで売られていた。

意外にも中国ではお寺に人が多く集まる。

2011年に追突事故で有名になった高速鉄道「和諧号」。外国人はパスポート、中国人も身分証明を提示しないと乗れない。

 北京には朝がない――。

 1月末、4年ぶりに北京を訪れて驚いたのは、まずこのことでした。まるで夜のように、朝が暗いのです。まぶしい太陽が燦々と昇ってくるという日の出は、日本特有の情景かもしれませんが、それにしても、暗すぎます。

 理由は、深刻な大気汚染でした。幸い私が北京に着いた時は雪が降り、いくぶん空気が浄化されていました。しかし、つい数日前まで視界はほぼゼロ、外出には「生命の危機」を感じるほどだったというのです。それもそのはず、北京ではビル街の谷間に巨大な煙突があちこちにあって、近くを通ると喉や目が痛くなります。しかも、今年は特に寒さが厳しく、暖房にはいまだに大量の石炭を使っています。そこに520万台と言われる大量の車が大渋滞を起こす。空気が乾燥している上に風が吹かないという条件も加わって、実に恐ろしいことになっていたのです。

 北京市の環境保護局は、毎日、空気の汚染指数をホームページで公表していますが、最高レベルの「厳重汚染」が続いています。

 

 

「南方週末」本社に突撃

 空気と同様に重苦しい雰囲気を感じたのは、習近平体制になっていっそう自由が規制されているからでした。日本では考えられない「監視社会」です。

 先月号の本欄でも触れた、週刊紙「南方週末」の本社を訪ねてみました。年初に掲載する予定だった社説「中国の夢、立憲政治の夢」が、当局の圧力によって内容を改竄されたことを、現役の記者が暴露して話題になったメディアです。

 ところが、北京では誰もこの問題を知りません。瀋陽でも同様で、一日中テレビを見て過ごしているという男性も「知らない」と言います。世界中で報じられていたのに、中国の国内では報道されていないのです。

「南方週末」は、2009年にオバマ大統領が訪中した際、独占インタビューを行ったことで知られます。オバマ大統領は、新華社や人民日報でなく、「南方週末」の取材を受けたわけですが、この記事は当局によって差し止めとなり、編集長はクビ、掲載予定だった紙面は白紙のまま発行されました。今回の社説改竄事件でも、編集長が交代に追い込まれています。

 本社受付では押し問答しながら「編集長に会わせてくれ」とお願いしたのですが、「直接電話で交渉してくれ」と、電話番号を聞き出すのがやっとでした。しかしその番号にかけてみると、電話に出たのは当局の行政部。外部の者がアプローチできないように厳重にブロックがかかっていたわけです。

 

 

至るところに監視カメラが

中国では至るところに監視カメラが……。

 そして、現代中国を象徴する、ある物体が至るところに……。監視カメラです。「南方週末」の本社付近の街路樹には、木の枝に監視カメラがぶらさがっていました(写真1)。

瀋陽ではすべてのタクシーに監視カメラがつき(写真2)、乗客に向けられています。運転手に聞いてみると、乗車時にメーターを下ろす時にパシャッと撮られ、データはすべて蓄積されているのだそうです。5年前に当局の指示で導入された時は、さすがの中国でも「人権問題だ」という声が出たとか……。

 こんな調子なので、この国では、性悪説のような不信感が漂っています。党幹部の汚職問題が大々的に報じられていますが、その背景にあるのは権力闘争です。市井の人たちは「いま摘発されているのは小役人ばかりだ。その上の幹部はまったく摘発されていない」とぼやいています。

 ちなみに、ある男性に「温家宝氏が、27億ドルもの巨額の蓄財をしていたことが米国で報道されましたが、御存じですか」と尋ねると、「知らない。だが、まったく驚くには値しない」と事もなげに言います。温家宝氏の母親が中国では大手の「平安保険」の株を持っているので、そのくらいは貯めるだろうというのです。党幹部の不正蓄財はもはや常識で、トウ小平の「先富論」(※)で豊かになった高官たちが、富を分かち合うどころか、大量に海外脱出していることもみな知っています。

※「可能な者から先に裕福になれ。そして落伍した者を助けよ」というスローガン。

 

中国の未来を誰も信じていなかった

 印象的だったのは「中国が分裂する可能性はあると思いますか」という私の質問に、「100%ある」と答えた人がいたことです。60代のその男性には、1989年の天安門事件のことも聞いてみました。当時、仕事で南部の地方都市にいた彼が、北京から来た30代の若者に「天安門で事件があったというが、本当か」と問いかけた途端、その若者は両目から涙をどっと溢れさせて、「天安門に入ってきた1列目の戦車は、若者をひき殺していった。2列目の戦車はその肉と骨を、ゴミのように回収していった。そして3列目の戦車は水をまいていった」と語ったと言います。それで男性は、「天安門で死んだ若者たちの名誉回復は、絶対になされなくてはならない。そして共産党は、もってあと10年だろう」と言うのです。ドラッカーの言うところの「すでに起こった未来」を垣間見た思いがして、中国にやがて訪れるであろう、次なる時代の胎動を感じました。

 中国人の誰もが実は、共産主義の理想も正義も、また国の未来も信じていないのです。このような政治体制がこのまま存続するはずがない――そんな確信が、今回の視察で得られた最大の収穫と言えます。

 

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