2013年3月号記事

ワシントン発
バランス・オブ・パワーで読み解く
伊藤貫のワールド・ウォッチ

(いとう・かん)

国際政治アナリスト。1953年生まれ。東京大学経済学部卒。米コーネル大学でアメリカ政治史・国際関係論を学び、ビジネス・コンサルティング会社で国際政治・金融アナリストとして勤務。著書は『中国の核戦力に日本は屈服する』(小学館)、『自滅するアメリカ帝国』(文春新書)など。

国際政治はバランス・オブ・パワー(勢力均衡)から逃れることはできない。アメリカの退潮、中国の台頭、北朝鮮の核武装──。日本の置かれた立場は確実に不利に傾いている。日本が主体的にパワー・バランスをつくり出すために、国際情勢をどう読み解けばいいのか。

実践・私の中国分析

実践・私の中国分析
「毛沢東」と「核」で読み解く国家戦略

平松茂雄著
幸福の科学出版刊

1,785円(税込)

平松茂雄氏

第10回

平松茂雄氏の新著 『実践・私の中国分析』を推奨する

30年以上前から中国の軍事的脅威を警告

中国は過去半世紀間、東アジア地域のバランス・オブ・パワー環境を着々と自国にとって有利な方向へ変える努力をしてきた。中国指導者層の沈着さ、粘り強さ、大胆さ、苛烈な闘志は、「安全保障はアメリカに任せて金儲けに専念すればよい」という安易な態度をとってきた日本に、戦略的に優越していた。

平松茂雄氏は30年以上にわたり、中国の国家戦略が将来の日本に及ぼす危険性を訴えてこられたが、日本の大部分の政治家、官僚、自衛隊幹部は、聞く耳を持たなかった。