頻繁に日本の右傾化、軍国化を危惧する偏向報道が欧米で相次ぐなか、昨日のPart 1に引き続き日本の実像を捉える欧米メディアの声を抜粋で紹介したい。

米外交問題評議会のシーラ・スミス氏は、ブログサイト「Asia Unbound」に寄せた1月11日付論考で、日本の現状について一問一答で答えている。

  • 7日、2013年度の日本の防衛関係予算が11年ぶりに1200億円増額される方針が発表された。前年度から2.6パーセント増となる。これはショッキングなことか? ──そうではない。中国の防衛予算は前年比10パーセント以上、韓国は5~10パーセントの間で推移していることを見れば、遅きに失したとも言える。
  • 安倍内閣は空母を購入しようとしているか。──いまのところはない。
  • 防衛予算の増額は日本の軍国主義の高まりを意味するか──決してそうとは言えない。ウォール・ストリート・ジャーナルは、日本の防衛費増額を「とるに足りない」予算とみなし、安倍内閣は防衛政策についての議論を早急に深めるべきだと強く促している。
  • 日本は尖閣を含む南沙諸島に対する防衛を強化していくのか。──もちろんである。

このような議論が見られるなか、懸念すべきは日本が正しく保守化できるかどうかだろう。フィリピン、インドネシア等の東南アジア諸国は日本の軍備増強に期待を表明しているが、「中国包囲網」の意味を有するTPPへの参加は、安倍首相の2月の訪米時点では参加表明が見送られ、参院選後に結論が先送りされる可能性も高い。TPPはオバマのアジア回帰の根本政策であるにもかかわらず、参院選を控えた安倍内閣は選挙に不利になることを手控える可能性がある。

政治には妥協がつきまとうものだ。しかし、集票目当てで既得権益を守ろうとする政治を行えば、国益を犠牲するだけでなく、アジア諸国の日本への期待を裏切ることになるだろう。(華)

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