インターネットを利用した選挙運動が解禁される見通しとなった。自民党は15日、禁止されているインターネットの利用に関する公職選挙法改正案を、28日に召集する通常国会に提出する方針を固めた。改正案ではネット利用の範囲などを焦点に、選挙期間中も候補者自らがホームページの更新によって投票を呼びかけることを認めるか、受け取りを希望する人に限り電子メールを送信できるようにするか、などについて議論される見通し。

選挙運動におけるインターネット利用は、公職選挙法の第142条第1項で禁止されている「選挙運動のために使用する文書図画」、「選挙運動の期間中において文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限」(第146条)、「選挙後の当選または落選に関する有権者へのあいさつを目的とした文書図画の頒布や掲示の制限」(第178条第2項)にあたると解釈され、禁止されてきた。ネットを利用した選挙期間中の情報発信は違法行為とされる可能性が高いため、候補者は選挙期間中及び選挙後にウェブサイト更新や電子メール配信を自粛することが一般的となっている。

公職選挙法が上記のような禁止や制限をしているのは、戦後間もない1950年当時、資金力の差が選挙結果に結びつかないよう、物資の調達に制限をかける趣旨だった。しかし現在はネットの普及により、誰でも低コストで情報発信できる。パソコンや携帯電話などによるネット利用者は国民の約8割に上り(2010年、総務省調査)、スマートフォンの普及で、より一層ネットが利用しやすくなった。候補者の街頭演説を動画共有サイトに上げたり、SNS(twitterやFacebookなど)に候補者の写真を載せたりする有権者も増えている。

ネット選挙の効果としては、ネット上で候補者同士の政策論争が行われ、有権者の判断材料が増えるなどして情報が透明化すること、候補者が幅広い有権者の声に耳を傾けるなど双方向アクセスが容易となること、若者の政治参加の向上、情報の速報性アップなどが期待できる。ヤフーが政党向けに、ソーシャルメディアでの投稿や検索での頻出キーワードを解析する事業を検討するなど、ネット各社も選挙関連サービスの準備に着手している(12日付日経新聞)。

加えてネット上では、特定の政党について伝えないなどするマスコミの偏向報道の影響力も小さいので、国民の知る権利が保障されやすい(中国でもネットが「言論の自由」の場になっている)。資金力によるリーチの差や、なりすましなどの問題は残るが、民主主義の本義からすれば、低コストで自由なインターネットこそ選挙に活用すべきツールではないか。(徳)

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