中国の週刊紙「南方週末」は4日、共産党広東省委員会の検閲で社説を変えられたとして、同委員会宣伝部トップの辞任を求める声明を発表した。

同紙は「中国の夢、憲政の夢」と題する民主的な立憲政治を求める内容の社説を3日付で出稿したが、共産党広東省委員会が習近平総書記の談話に合致する内容の「われわれは民族復興の偉大な夢に最も近づいた」という原稿に差し替えるよう命じたという。

替えられた原稿では、憲政や民主、自由、平等などの表現を削除され、反日デモでの理性的な行動を評価する記事も削除されたという。南方週末編集部は3日、原文を中国版ミニブログ「ウェイボ(微博)」に投稿、公表した。その投稿は当局に削除されたものの何度も転載され、拡散し続けている。

一方、北京の改革派雑誌「炎黄春秋」は1日から当局にホームページを閉鎖されている。同誌が13年1月号に「(1)全国人民代表大会は指導者の罷免を可能に(2)私有財産の保護(3)言論・出版の自由」などを主張する社説を掲載したことが原因と見られている。

習近平新指導部はこれに先立つ12年12月、ネット利用者の身分管理強化など、ネット規制の新たな法制化の審議を始めていた。また、指導部宣伝担当の劉雲山氏は13年1月4日、北京で全国宣伝部長会議を開き「党の政治路線に沿う報道でなければならない」と発言。今後も圧力をかける意思を見せている。

これらの動きに、人民日報系の環球時報でさえ4日付で「古い管理体制は続かない」と管理の強化に疑問を呈した。

ただ、政府側がいかに圧力をかけようとも、国民はi-phoneなど西側の最新機器を所持し、ウェイボなどで検閲を逃れる隠語(「習(Xi)」を発音の似た「she」で表現するなど)を駆使して情報をやり取りしている。無理な規制は反発を招くばかりだ。今回の件でも今、ウェイボなどを通じて抗議デモを呼びかける声が上がっている。

今回の言論封殺を見ても、習近平新指導部がいかに前近代的な自由抑圧政権であるかが分かる。中国内部で今、「言論の自由」を巡る戦いが起きている。(居)

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2013年1月号記事 習近平・新体制発足で日本は「新しい元寇」に備えよ - Newsダイジェスト

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