本誌主催のリバティセミナーが、29日に東京都港区の幸福の科学・東京正心館で開催された。本誌編集長の綾織次郎が聖学院大学経済学部教授の鈴木真実哉氏をゲストに迎え、2013年の日本や世界情勢について対談を行った。その一部を紹介する。

【民主党から自民党への政権交代について】

綾織次郎(以下、綾織):野田首相も、幸福実現党の政策を取り入れて、「原発ゼロ」方針を正式決定しなかったり、オスプレイをあっさり導入したりしましたし、尖閣の問題もある程度はしっかり対応しました。けれども、幸福実現党の言うとおりにやっていくと、党が持たなくなって分裂していったという流れがあります。自民党も、幸福実現党の言う通りにやろうとしているんだけれども、足元は危ういかもしれません。

鈴木真実哉教授(以下、鈴木):自民党も古い政党ですから、党の伝統やしがらみがあります。幸福実現党の政策をそのままやろうとしたら、一度解党しないと難しいところがありますよね。民主党政権という料理が不味すぎただけに、今は自民党が期待されています。しかし、自民党政権というのは普通の料理が出てきただけで、決してごちそうではありませんよ。幸福実現党のレシピを見ているけれども、美味しい料理までは調理できないんだよね。

綾織:安倍政権は日銀を動かそうとしていますね。また、200兆円を使って国土強靭化計画で高速道路を丈夫にする、ビルを丈夫にする、と言っています。これ自体は悪くはないわけですけれども、成長戦略としてどれくらいの効果があるのか。

鈴木:経済成長には3つが必要なんです。まずは莫大な資金供給。これは金融緩和をしようとしていますから、まあ、いいですね。2つ目が技術力や構想力。安倍さんは経済成長路線については1回きり、「今どうするか」ということしか考えていないようですね。5年後、10年後の発想が見えてこないんですよ。3つ目はコーディネーター。新しい発想でプロジェクトをコーディネートできる人材が必要ですが、安倍政権には不足していますね。

綾織:幸福実現党は投資することで新しい事業を立ち上げて、毎年毎年富を生み出すという状態を作ろうとしている。ここが自民党との違いです。安倍さんがケインズ的に公共事業をやって景気を良くするんだとしたら、幸福実現党の場合は、経済学の枠組みにとどまらず、ドラッカーの経営思想の方向にも入っているというわけですね。

【世界経済について】

綾織:世界の経済についてですが、アメリカは年初から「財政の崖」がやってきます。EUも1月はじめに、銀行監督機能をEUで一元化すると言っています。日本の金融庁がアジア各国の銀行を監督するという話ですよね。これまたおかしなことです。

鈴木:ついにヨーロッパも共産主義、社会主義が完成しつつあると思いますね。ヨーロッパがどうやって生き残るか、という最後のあがきをしているんでしょうですけど、逆に生き残れない方向に持っていっています。今年はEU発の不況が世界に広がってしまうでしょう。

綾織:EUもそうですけど、アメリカも社会保障で財政難になり、没落しています。

鈴木:アメリカもヨーロッパも、没落してきている原因は福祉政策です。日本人は、福祉政策を善だと考えがちですが、本来は価値中立で、国民を幸福にするなら善だし、国民をダメにするなら悪なんです。2013年は、福祉の中に、ロクでもない部分がいっぱいあるんだということを認識する元年だと思います。

綾織:石田梅岩も霊言『石田梅岩の庶民繁栄術』で、楽をして棚ぼたでお金をもらえることを期待している人は、「不幸になる義務がある」と言っていますよね。

【新年に向けた「勇気の言葉」】

鈴木:来年は「3社に1社しか生き残れない」と言われる厳しい年ですけれど、勝ち組が大きい利益を得る時代で、その勝ち組が次の時代を作るわけです。要らないものが淘汰され、実力が評価される全くいい時代になるわけですね。総裁先生が「乱気流の時代」とおっしゃっていますが、乱気流には上昇気流も下降気流もある。今、何もない人間が飛躍するには、乱世じゃないと難しい。本当に実力のある人は勝ち抜けるし、伝統がなくても、新しいスターが出てくる時代です。

綾織:来年2013年は伊勢神宮の式年遷宮というのがあります。お宮が20年毎に西と東に行ったり来たりします。20年ごとに激動の時代と平穏な時代が交互に来ていると、伊勢神宮では言われているそうなんです。

ペリー来航から明治維新が起こるまでが15年ぐらいですが、激動の時代だった。その後20年は、近代化して経済発展した。次の20年は、日清・日露戦争。その次は大正デモクラシーという平和な時代。その次は太平洋戦争があった時期で、その次の20年は高度経済成長した。さらに次の20年は、日本だったら石油危機やバブル崩壊、世界ではベルリンの壁の崩壊があった。その後の20年が1993年から2012年ですが、実は平穏な時代で、ものすごい大激動の時代は2013年から始まるわけなんですね。

乱気流の時代は、逆に言うと、チャンスの時代ですよね。世の中の秩序が変わってくる、入れ替わりが起こってくる時代。その中で、私達としてどれだけ行動していけるかが問われているということだと思います。

【関連記事】

2013年2月号記事 世界大恐慌を食い止めよ 「バランスシート至上主義」の罠

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5366

2013年1月号記事 幸福実現党の防衛力&GDP倍増プラン

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5189

【参考書籍】

幸福の科学出版HP 『石田梅岩の庶民繁栄術』――弱者救済への幸福論 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=874