18日にアメリカ・ワシントン市で行われた講演で、パネッタ国防長官が「2017年までに米軍岩国基地にF35を配備する方向で準備を進めている」と述べた。国外最初の配備先として岩国基地を検討しているという。(19日付オンライン版各紙)

F35は冷戦終了後に開発がスタートした、新しい機体だ。レーダーに映らない、あるいは映りにくいステルス機で、様々な任務(爆撃、哨戒、空対空戦闘)をこなすことができる。また、収集した情報を一元的に処理し、パイロットに示す。危機の度合いや周辺空域での戦術状況がひと目で分かるようになる。空軍タイプのA型、海兵隊仕様のB型、海軍仕様のC型の3タイプが存在し、岩国に配備されるのは垂直離陸機能も持つB型とみられる。

沖縄でなく山口の岩国に配備するのは、現状北朝鮮と中国への牽制がメインであり、地理的に沖縄より岩国の方が近いため。また、在日米軍基地のなかでも次期首相の安倍氏の地元であり、配備しやすいと考えたためであるとされる。さらに、沖縄には海兵隊の戦闘機の部隊が駐留していないためだ。

米軍が日本配備を急いでいるのは、東アジア地域での軍事的緊張の高まりを受けてのことで、配備されれば東アジア地域で圧倒的な航空優勢を確立できる。だがF35は、コンピューターソフトの開発遅延と開発費の高騰化が原因で、アメリカ本土での配備は予定より2年遅れて2017年以降となった。日本の自衛隊も次期主力戦闘機をF35Aに決定したが、アメリカの煽りを受けて2019年まで運用が不可能となった。4年後の岩国への配備も、いささか遅い感は免れない。

一方、日本は防衛省技術本部が先進技術実証機・通称「心神」を開発中だ。2014年には初飛行を予定、2016年には開発完了を予定している。「心神」はあくまで試験機体だが、これをもとに様々な政治的・財政的・軍事的・技術的妥当性を認められれば、国産戦闘機の開発が開始される。もっと予算があれば、F35の配備よりも早く国産ステルス戦闘機が開発できるかもしれない。

中国はステルス戦闘機を試験飛行させたり、連日のように尖閣周辺海域に侵入したりと領土的野心を露わにしている。日本は現状に鑑み、国防にさらなる投資をして開発を促進し、覇権国家の野望を食い止め、国土と国民の安全を守らなければならない。(悠)

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