中国の漁業監視船が16日早朝、沖縄県の尖閣諸島周辺で日本の領海に侵入した。接続海域を漂泊していた中国当局の漁業監視船「漁攻206」が、約50分間領海に入っていたという。海上保安庁の巡視船の警告に対しては、「釣魚島(魚釣島の中国名)は古来、中国の領土だ」と回答した。

この日、接続水域には漁攻206に加えて、海洋監視船の「海監50」「海監110」「海監111」「海監137」が航行していた。この海域には11日から6日連続で中国船が確認されており、接続水域の航行や領海への侵入は常態化している。そのためか日本のメディアも大きく取り上げることが少なくなっている。

中国は13日にも尖閣諸島付近で領空侵犯した。日本政府は中国政府に抗議したが、中国は「飛行は完全に正常なこと」だと反論し、日本に対して尖閣諸島周辺の海域や空域に進入しないよう要請している。アメリカ政府は14日、中国政府に対し、尖閣諸島は安保条約の適用対象であることなどを改めて伝えた。しかし日米安保があるからといって、日本が何もしないならば、尖閣諸島は中国のものであると認めたという、誤ったメッセージになりかねない。

中国が尖閣の領有権を主張し、領空侵犯までしているにもかかわらず、日本には「中国を刺激してはならない」という声はいまだ多い。しかし、外交レベルで申し入れをしても領海侵犯をやめさせられないのは、「日本は攻撃をされない限り武力行使しない」と認識されているからだ。相手国が明らかに侵略行為を行なっているにも関わらず、何もできないのであれば腰抜けと言われても仕方ないだろう。

このままだと、領空侵犯だけでなく、尖閣に「中国の施設建設」「習近平総書記の上陸」も起きかねない。仮にこのようなことを予告された場合、新・自民党政権は、一体どう対応するのか。自民党は、少なくとも衆院選の間、何をするか明言していない。

幸福実現党の立木秀学党首はかねてから、尖閣諸島への領海侵犯に対して「領海侵犯そのものを取り締まる法整備を早急に進め」、「領海警備における武器使用基準を緩和すべき」と声明を出している。竹島に李明博大統領が降り立った時のように、結局、何もしないでやり過ごすのであれば、中国共産党政府による尖閣の実効支配は大きく前進してしまうだろう。(晴)

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