原発問題について主要4党の公約を比較し、それぞれの政策が実行されたらどうなるかを考えてみたい。

原発をやめれば他の高コスト発電に切り替わるので、電気料金が上がり、企業も家計も圧迫して日本経済が二流に落ちる。もし石油が入って来なくなれば手も足も出ない。また、原発技術は潜在的に核兵器開発技術なので、原発ゼロは日本が核兵器を持つ可能性を放棄することになり、他国の脅威が増して日本の植民地化が現実になる。

結論から言うと

[民主党]

原発ゼロを必ず実現→日本経済が「必ず」ダウンし、2030年代に「必ず」植民地になる。

[自民党]

専門家の判断によっては原発ゼロ→日本の経済がダウンし、植民地になる恐れあり。

[維新の会]

脱原発依存メカニズム→もう一つはっきりしないが、経済ダウンと植民地化の恐れが大。

[幸福実現党]

安全性を高めて原発推進→日本の経済発展と他国からの独立を守ることができる。

以下、それぞれの党の公約から原発政策を引用し、内容とトーンについてコメントする。

[民主党]=「ええかっこしい型」

前回衆院選の子ども手当と同じで、実現性より、とにかく「原発ゼロを必ず実現します」と国民にウケそうな言葉で釣っている。「政権政策Manifesto」にはこうある。

  • 2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入。電力の安定確保など、様々な課題を乗り越え、着実に目標へ近づいて、「原発ゼロ」を必ず実現します(後略)。
  • 原発については、「40年運転制限制を厳格に適用」「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ再稼働」「原発の新設・増設は行わない」という3原則を守ります。核燃料サイクル事業のあり方の見直し、人材・技術の維持・強化(中略)など、新たな原子力政策を確立します。

後半では「維持・強化」「新たな原子力政策」と続けるようなことも書いている。党内意見が割れているからだろう。

[自民党]=「責任回避型」

維持か廃止か明言せず、「専門家に委ねる」と逃げている。政権公約にはこうある。

  • 原子力の安全性については、「安全第一」の原則のもと、独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先します。原発の再稼動の可否については、順次判断し、全ての原発について3年以内の結論を目指します。安全性については、原子力規制委員会の専門的判断に委ねます。(中略。電源構成のミックスは)原子力規制委員会が安全だと判断する新たな技術的対応が可能か否かを見極めることを基本にします。

本音では、原子力規制委員会に「安全だ」と言わせて再稼動したいという、政治家としての責任を避ける不誠実な姿勢だ。

[日本維新の会]=「水と油型」

脱原発依存と言いながら文言が微妙。「骨太2013-2016」にはこうある。

  • 「原発政策のメカニズム、ルールを変える」――(1)脱原発依存メカニズム(安全規制、使用済燃料の総量規制・乾式中間貯蔵、損害賠償のルール化。((2)、(3)で電力政策全般に言及・省略)
  • 結果として、既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウトすることになる。

「既設の原子炉」でなく新設ならいいのか。「フェードアウト」とは、やめるのか細々と続けるのか。脱原発派と維持派の折衷のようでもあり、あとで「こう書いてあるでしょ」と言い訳するための予防線のようでもある。

[幸福実現党]=「ストレート型」

メインの主張である「政策公約3つの約束」の3番目で、「安全性を向上させて原発を推進します」と明言している。「主要政策」にはこうある。

  • 原発の推進と安全性向上――原子力の活用による電力の安定供給と、新エネルギーの研究・開発に取り組みます。/原発の安全性を高めた上で、原子力エネルギーの利用を推進します――原発事故を機に世界最先端の技術へと高め、世界一安全な原発をつくります/安全性が確認された原発は再稼働します/原発からの使用済み燃料の全量再処理を進め、核燃料サイクルの確立を目指します/高速増殖炉の実用化を目指します。

投票先を決める参考になれば幸いである。(司)

【関連記事】

「脱原発」政党だけなのか? 出でよ、原発推進政党 バーチャル公開討論会を開催

http://www.the-liberty.com/topics/2012/866.html

2012年12月15日付本欄 「原発ゼロなら日本は植民地になる」 投票日を前に日本建国の神からの緊急神示

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5303