日本維新の会(以下、維新)は29日、衆院選の公約集「骨太2013-2016」を発表するとともに、石原慎太郎代表と橋下徹代表代行が記者会見を行った。

公約は、様々な要素を持ち寄った「ごった煮」という印象が強い。元々の維新はみんなの党との共通公約をまとめており、そこに石原氏の太陽の党が合流したからだ。

道州制による中央集権の打破を訴えている点はこれまで一貫しているが、「自主憲法の制定」は石原代表の持論で、従来の公約案にはなかった。金融政策の「政府と日銀の間で物価安定目標に関するアコード(政策協定)を締結」という部分は、太陽の党との合流前にみんなの党との間でまとめた共通公約である。

また、維新は元々、2030年代までの原発ゼロを公約に盛り込む予定だったが、太陽の党との合流でいったん白紙になった。しかし、今回は「2030年代までにフェードアウトする(消えてゆく)」という表現で復活。安全基準などルールの厳格化や電力市場の自由化という、太陽の党との合流時に合意した文言がくっついてきた。

今回、維新は大きな考え方を「骨太」としてまとめ、それに則った「政策実例」と呼ぶものも同時に発表している。橋下氏は会見で、「細かい工程表などをつくるのは政治家ではなく官僚の仕事」と述べ、政策実例について「議員が持ち寄ったアイデアであり、議論の余地がある」と語った。責任回避のための逃げ道をつくったあたり、巧妙と言える。

発表された公約は、日本の行くべき先を決める上で一貫したものとは言えない。集団的自衛権の行使容認や防衛費のGDP1%枠撤廃などの防衛強化を打ち出してはいるが、道州制が目玉政策では国防の意思決定が遅くなる。経済でも、「公共工事拡大路線とは異なる経済成長」を訴えており、インフラ整備や産業投資など持続的な力強い成長を支える政策を打てない。その上、原発ゼロ路線によって、安定した電力供給を維持できるかは不明だ。

維新の公約は「行きがかり上、こうなった」という色彩が濃く、日本という国のかじ取りを任せるにしては、つぎはぎだらけという印象をぬぐえない。

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