国際エネルギー機関(IEA)は12日に発表した報告書の中で、アメリカが2015年に天然ガスの生産で世界一になり、2017年には世界一の産油国になるという見通しを示した。

アメリカでは近年、地中深くにある岩盤に閉じ込められた「シェールガス」や「シェールオイル」を採掘する技術が確立され、石油生産が増えている。この「シェールガス革命」によって、2035年にもアメリカはエネルギー自給を達成できる見込みだ。

採掘規制やコストなど、改善すべき点もある。中東での石油生産に比べて、シェールオイルは採掘にかかるコストがまだ割高なため、石油の国際価格が値下がりすれば、米国産シェールオイルの競争力は低下しかねない。

しかし、エネルギー産業の拡大は、経済不振に悩むアメリカにとって朗報だ。シェールガス・オイル関連事業で、2020年までに60万人の雇用が創出されるという。

国内エネルギー需要の2割を輸入に頼っているアメリカはこれまで、石油の安定調達のため、中東に関与せざるを得なかった面がある。アメリカがエネルギー自給を達成できれば、中東への関与を減らし、急速な軍拡でアメリカの覇権を脅かそうとしている中国に対して、より対応が取りやすくなるかもしれない。

シェールガス革命が、世界一の国・アメリカ復活ののろしとなる可能性がある。

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