米大統領選は6日に投開票され、オバマ大統領の再選が決まった。

8%近い失業率の改善を含む経済の立て直しが1期目からの宿題だが、選挙戦でオバマ大統領は「富裕層に増税する」というメッセージを繰り返すばかりで、大規模な需要の創出による景気回復は望めない。またオバマ氏が1期目で積み上げた5兆ドルもの政府負債に加え、ベビーブーム世代の退職でかさむ社会保障費によって、財政再建の必要性が高まっている。その結果、しわ寄せを受け始めているのが国防費だ。

アメリカの国防費は向こう10年の間に、1兆ドル規模で削減される見込み。オバマ政権は1期目に「アジア回帰」の戦略を打ち出し、中国の軍事的な拡張を牽制する動きを見せていたが、その戦略も国防費削減で有名無実になる可能性が指摘されている。

また、オバマ大統領は中国の軍事問題について、公の場で発言を避ける傾向があるなど、この問題に個人的な関心があるわけでもない。「アジア回帰」戦略を実質的につくってきたのはクリントン国務長官と、キャンベル国務次官補だが、両氏は退任する見通しだ。

軍拡著しい中国が領土問題などで、周辺国との軋轢を深める中で、米国務長官の人選は東アジアの安定に影響する問題だ。現在のところ後任には、ケリー上院外交委員長などの名前が挙がっている。だが、ベトナム反戦運動に熱心に取り組んだケリー氏は、対話重視のスタンスであり、北朝鮮の核問題をめぐっての米朝対話を呼びかけたこともある。

他にも、ドニロン国家安全保障担当大統領補佐官の名前が挙がる。しかし同氏は現職に就く際に、ゲーツ前国防長官が「破滅的になる(disaster)」と言ったとされ、軍との関係は思わしくなく、海外での経験も乏しい。オバマ大統領の考え方を手際よく実現するのに長けているとの評が多く、外交政策立案に関わってきたが、それは中国の軍事問題に積極的には関わらないという意味にもなりうる。

またライス国連大使の名前も挙がるが、元々はクリントン政権でアフリカ問題を担当した人物であり、アジアへの関心は未知数と言える。

オバマ政権の「アジア回帰」戦略で実質的な対中包囲網の構築が始まったが、この政策をアメリカが続けられるかどうかは不透明だ。アメリカが自国の経済と財政再建にかかりきりになり、中国問題まで手が回らないなら、日本にとっては耐え忍びの4年間になる。日米同盟を堅持しつつも、中国の覇権主義から自分の国を自分で守るという体制を固められるかどうかが、日本の生存を分ける問題となるだろう。

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2012年10月30日付 グローバル版記事 Romney or Obama?

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