海洋安全保障をめぐる日本とインドの協力を話し合うシンポジウムが10月31日、ニューデリーで開かれ、中国の海洋進出に対抗するための、日印関係の強化を主張する意見が相次いだ。1日付産経新聞が報じている。

インドは、米国との関係を積極的に強化しており、東アジア諸国との関係を重視する「ルック・イースト政策」を進めている。今回のシンポジウムでは、このルック・イースト政策の中心的な存在が日本であると、インドのアシュウィニ・クマール法相が発言したという。

また、最近は頻繁に日印関係の強化を目指す協議が重ねられており、11月15日には、インドのシン首相が訪日することが決まっている。インドは中国との間で紛争を重ねてきたが、日本も現在、中国の脅威にさらされている。この状況を考えたとき、今こそ「日印同盟」を締結する絶好の機会と言えるのではないだろうか。

核保有国であるインドは、これまでに、短距離弾道弾を中国との国境地帯に配備することを明らかにしている。また、インド政府関係者は、2010年の段階で「2012年までに、中距離弾道弾による防御システムを完成させる。対象は、中国・パキスタンだ」と発言している。

さらに、インドの海軍力は東アジアでも有数で、3隻の空母体制・5隻の原子力潜水艦の導入も計画している。また、中国がミャンマーやパキスタンで港湾建設を進める「真珠の首飾り」戦略に対抗して、アフリカ東部や東南アジア諸国と連携を強める「ダイヤのネックレス」戦略を打ち出している。シーレーンを脅かされている日本にとって心強い。

加えて、インドの人口は世界第2位の約11億人で、BRICSとして今後の経済成長に期待が持てる。日印関係を強化することは、安全保障面のみならず、経済面でもメリットがある。

日本とインド海軍は、今年6月に相模湾付近で共同訓練を実施しており、さらには、インド政府が「日本と韓国の間の海は日本海」という立場を表明していることからも分かるように、親日的である。

尖閣問題で日中関係が緊張し、日本の安全が脅かされている今、日本がとるべきは、「対中国」姿勢で安全保障戦略が一致するインドとの関係を強化し、同盟関係を構築することである。(飯)

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2011年12月号記事 2012年世界はこうなる 第1部-国際政治編(2) 鈴木壮治氏

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