中国人作家の莫言(ばくげん)氏が今年のノーベル文学賞に決まった。11日に授賞を発表したノルウェー・アカデミーは「幻覚的なリアリズムで民話と歴史、現代を融合させた」と莫言氏を評価している。人民解放軍出身で、発禁処分などを受けながらも性や暴力の描写といったタブーに挑戦してきた作家だ。

しかし莫言氏の受賞は、中国の歴史問題についてのプロパガンダに対して堂々と反論しないできた日本の姿勢を問うものでもある。日中戦争期に盗賊らが抗日のために立ち上がる農村を舞台にした、代表作の『赤い高粱(コーリャン)』は、今回のノーベル賞受賞を機に世界的に読者が増えるものと見られる。しかしその中では、囚われた中国人を生きたまま皮を剥いで処刑したり、民家に押し入って女性を輪姦したりする、中国共産党のプロパガンダそのものの日本兵が描かれている。

こうした創作は、軍規正しく、占領地の治安を守った日本軍の実像とはかけ離れている。しかし、今回の受賞で、世界にはびこる「残虐な日本兵」という虚像にさらなる国際的なお墨付きが与えられることになる。これは、これまで中国や韓国による歴史問題のでっち上げに、事実に基づいて堂々と反論してこなかった日本の過失でもあるだろう。

また今回の受賞を中国政府がどう扱うかは、中国という国が国際常識をどれだけ身に付けた国かを測るものともなる。2010年に中国人民主活動家の劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した時、中国はノルウェー政府要人のビザを発給しなかったり、ノルウェー産サーモンの税関検査を遅らせたりと、異常なほどの反応を見せた。「今回の莫言氏は政府批判が控え目だから認める」という口実で、今後、中国政府がノルウェーとの関係改善に動けば、中国は「ノーベル賞をカードに世界を脅した独裁国家」であると自ら証明することになる。

中国は、東京で開催中のIMFの総会でも閣僚を欠席させている。尖閣問題での日本への抗議の意味合いがあることは明らかだが、国際会議への身勝手な協力拒否は国際的な非難を浴びている。世界第2位の経済規模を持てば、国際的な責任は当然伴うものであり、外交上の礼儀を逸した中国の傍若無人な振る舞いは批判されるべきものである。

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