6年半ぶりの円売り介入

9月15日、ついに政府・日銀が6年半ぶりとなる円売り・ドル買い介入に踏み切った。

野田佳彦財務相は、介入後の記者会見で「必要なときには介入も含めて断固たる措置を取っていきたい」と表明、ようやく円高阻止に向けた"本気"の姿勢を見せることになった。

きっかけとなったのは、前日に行われた民主党の代表選。介入に消極的と見られた菅直人首相が再選されたことを受けて円相場が急伸し、約15年ぶりとなる1ドル=82円台に突入したことを受けての措置だった。

通常、為替介入を行う場合は、市場に投入された円資金の一部を回収する「不胎化」を行う。しかし、今回は回収せずに放置するという「非不胎化政策」を採用し、事実上の金融緩和策となった。加えて1日当たりでは過去最大規模となる2兆円近い介入とあって、市場は敏感に反応。15日の日経平均株価は270円以上も上げ、一時9500円台を回復した。円相場も一気に85円まで戻った。

とはいえ、主な輸出企業の想定為替レートは90円程度と見られるため、経済界ではさらなる介入を期待する声も多い。

しかし、今回は米欧の協調介入は得られず、日本単独の介入になったため、その効果は限定的と見られる。急激な円高を緩和することはできても、円高トレンド自体を変えることは困難だろう。