韓国の金星煥・外交通商相は28日、国連総会の演説で「武力紛争下での女性に対する性暴力根絶問題は国際社会が深刻に扱うべき」と語り、竹島の領有権問題と共に、いわゆる「従軍慰安婦」問題で日本を批判した。

金外交相は演説で「韓国政府は国連の関連決議に基づき、国連と加盟国が武力紛争下での女性保護のための措置を取るだけでなく、被害者に対する効果的な救済措置と賠償、加害者の処罰を通じて、残酷な行為の根絶に受けた最善の努力を尽くすことを促す」と語った。韓国が国連加盟後、国連総会で「従軍慰安婦」問題に言及したのは初めて。

この問題は、日本軍が1930~45年、朝鮮半島の女性を強制連行して売春させたというもので、1990年ごろから、韓国で元慰安婦と名乗る女性たちが日本政府に賠償を求めている。

だが、実は「従軍慰安婦」の存在は、ある日本人の作り話から始まったものだ。元陸軍軍人だった吉田清治という人物が、1983年に出版した『私の戦争犯罪』という本の中で、第二次大戦中、韓国の済州島で朝鮮人女性を強制連行して慰安婦にしたことを「告白」。韓国などで講演活動を行ったが、その後、95年に本の内容が創作であったことを認めている。

こうした創作に基づいて、日本の左翼と韓国側が「強制連行」と大騒ぎし、93年には、当時の河野洋平官房長官が詳細な調査もせずに、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」「日常生活に強制性が見られた」と発言。作り話が、既成事実化していったのである。

そもそも、戦後賠償について取り決めた1965年の日韓基本条約の締結時、慰安婦問題は議題にすら上がっていなかった。つまり、「従軍慰安婦」問題は、歪んだ自虐史観を持つ日本の左翼陣営と、それに同調した韓国の人々が、「日本悪玉論」を使って、日本政府に賠償させようとしている問題なのである。

平和な世の中でも風俗店が存在し、そこで働く女性がいるように、戦争時に軍隊を相手に商売する業者は世界中、いつの時代にも存在する。当時の日本軍は、さらってきた女性を働かせるような悪質な業者を排除する意味で「関与」していたが、世界の歴史から見れば、極めて誠実な対応であった。

中国による「南京大虐殺」も作り話のたぐいのものだが、日本人自身が正しい歴史認識を持ち、諸外国の「ゆすり」「たかり」を跳ね返していくだけの能力を持たなければ、今後、日本は、中国・韓国からふっかけられている「歴史問題」に屈し、ひいては、領土を明け渡すような卑屈な国家になってしまうだろう。(居)

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