中国共産党大会の日程が11月8日に決まった。党大会では、最高権力者である「総書記」のポストが胡錦濤・国家主席から習近平・国家副主席に引き継がれ、事実上、習近平政権が発足する。だが、日程発表が約1カ月ずれ込んだことや、同時に発表された薄熙来・前重慶市党委書記への処分などの状況からは、党内での熾烈な権力闘争や混乱が続いていることをうかがわせる。

今回の党大会の開催時期は、2002年と並んでここ30年間で最も遅い時期となった。発表が当初の予定よりも1カ月ほどずれ込んだ背景には党内の権力闘争がある。中国共産党は、巨額の賄賂や女性問題を抱えた薄氏に対して、党籍の剥奪、公職追放、司法機関への移送という厳しい処分を下した。来年3月の全人代までに刑事責任を問う裁判が開かれる可能性があるという。

薄氏は、習近平氏も属する党幹部子弟グループの「太子党」に属し、毛沢東主義を掲げる党内の保守派でもある。その薄氏の処分について、今回、政敵である胡錦濤陣営(共青団)は厳罰を主張し、江沢民陣営(上海閥、保守派)は軽い処分を主張した。巻き返しを図る保守派の間では、胡錦濤氏を支える温家宝首相の親族の経済問題を追及するため、調査に動いたという情報もある(29日付読売新聞)。

この間をとりもったのが、江沢民氏とのつながりが強い習近平氏だったが、次期政権の権力基盤を安定させる目的や、薄氏への捜査の影響が自身の周辺に及ぶことを恐れ、早期の問題解決に動いたようだ。

だがこうした混乱は、一歩違えれば、党の分裂へと向かう。

中国はいつの時代も、軍を握った者が事実上の最高権力者となって国を動かしてきたが、今後、胡氏が総書記のポストを譲った後も、人民解放軍のトップである「党中央軍事委員会主席」の座に居座って院政を敷く可能性がある。ひとまず党大会の日程は決まったが、党軍事委主席の座をめぐる、胡氏と習氏の権力闘争は今後も続く。

この争いは日本にとって対岸の火事ではない。両陣営が党内の支持を集めるために、「どちらが日本に対して厳しい姿勢をとれるか」を競って、対日強硬姿勢を強める危険性がある。また、中国国民の経済格差などのガス抜きにも「反日」は格好の材料になる。

日本は、その脅威をはねかえすための防衛力の強化、法整備を行い、外交によって中国包囲網をつくり、自由や民主主義という価値観、そして、国を守り抜く体制を整えなければいけない。(格)

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