和歌山県の世界遺産「那智の滝」でロッククライミングをしたとして、有名登山家の男ら3人が逮捕された事件で、9日に和歌山県警新宮署は3人を礼拝所不敬容疑などで和歌山地検新宮支部に書類送検した。産経新聞などが伝えている。

那智の滝は、熊野那智大社の別宮、飛瀧神社の御神体であり、侵入が禁止されている。3人は7月15日、那智の滝に無断で侵入し、岩に器具を打ち込んで登った。滝の3分の2の高さ約100メートルまで登ったところを熊野那智大社の職員が通報し、現行犯逮捕された。

サンケイスポーツによれば、7月22日に、3人は頭を丸めて黒スーツにネクタイ姿で熊野那智大社を訪れ、土下座して謝罪した。同大社の朝日芳英宮司は3人に「自然に対してもっと畏敬の念を持つべき」などと懇々と説教した。その後、雨の中、3人を事件のあった滝に連れて行き、反省文を神前に置いて、神への冒涜を詫びる神事を大声で行ったという。

今回の事件を起こした3人は、「御神体である滝を、ただの岸壁と思って登ってしまった」という。しかし逮捕され、宮司の説教により反省の姿勢を見せていることから考えると、そもそも日本神道についての基本的な知識を聞いたこともないし、学校で教わったこともないのだろう。

礼拝所不敬罪は刑法188条に定められており、「神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者」に対し、「6月以下の懲役若しくは禁固又は10万円以下の罰金」とするものだ。日本国憲法では信教の自由が認められているが、刑法でも信仰心や聖なるものへの感情が守られているのだ。たとえ警察であっても、礼拝施設に無断で踏み込むことは許されていない。

最近では、墓地で女性のヌード写真を撮影した写真家や、靖国神社の祭祀を妨害した台湾議員なども、礼拝所不敬罪で逮捕されている。

「神様」に無礼を働くとバチが当たる。こうしたことは、昔は生活の中で自然と教えられたものだった。教育、マスコミも様々な宗教の基本的な考え方や信仰心の大切さをきちんと伝え、日本人は宗教に対する尊敬心を今一度取り戻すべきだろう。(晴)

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