米ワシントン・ポスト紙が大阪の橋下徹市長について、日本での報道などを分析した特集記事を1面と14面に掲載したが、それを日本の主要な新聞がこぞって取り上げている。

産経新聞などは、「見出しは、『炎のような市長の背後に日本の不満』」「橋下氏の舌鋒鋭い矛先が増税や震災復興、エネルギー政策などで十分な指導力を発揮できない国家に向けられている」「一貫して橋下氏を"応援"する好意的な論調となっている」と"好意的に"紹介しているが、原文は、どちらかというと「淡々と分析」しているように感じられるし、橋下氏について使われている言葉も、あまりお上品なものではないようだ。

そもそも、原文の最初の見出し「Behind a Firebrand mayor, asign of Japan's discontent」の「Firebrand」とは、「暴動や紛争などの扇動者、火付け役」という意味で、完全な誤訳である。

ネットサイトで公開されている記事では、「Behind Hashimoto,Osaka's telegenic mayor, a sign of Japan's discontent(大阪のテレビ受けする市長、橋下の背後に、日本の不満の徴候)」となっているし、文中に「舌鋒鋭い矛先」とも書かれてはいない。

リード部分には、「Toru Hashimoto is the product of a fed-up country. He is also its chief rabble-rouser.(橋下徹とは、うんざりしている国の産物。彼は、その国の大衆を焚き付ける頭〔かしら〕でもある)」と書かれている。

この記事は、橋下市長が、弁護士としてテレビ番組に出演し、論争の能力を磨いて大阪府知事となり、大阪市長となった経緯を的確にまとめてあり、読売新聞の渡邉恒雄主筆が「ヒトラーを想起する」と評したことに対して、ツイッターで「渡邉氏の方が堂々たる独裁」と反論したことにまで言及している。

「国政に興味はない」と口では言いながら、「維新政治塾」を開いて国会議員候補を集めるなど、やっていることは「野田政権の解散総選挙」を目指しているのが見え見えであるとも。

記事の締めくくりには、維新の会政調会長である浅田均・大阪府議会議長の「私たちがやろうとしていることには、お手本がありません。私たちが今、それを作っているところなんです(英文訳)」という言葉を紹介している。

アメリカの政治都市ワシントンから、「お手並み拝見」というところなのだろうが、アメリカに注目されている日本の政治家が、ドジョウ総理とポピュリストだけでは、情けない限りだ。〈宮〉

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2012年7月号記事 橋下徹の本音―ポピュリズムと地域主権の罠―

http://www.the-liberty.com/topics/2012/14.html