中部電力は21日、浜岡原発の津波対策費用が昨年7月の想定より400億円増え、1400億円になると発表した。防波堤強度を高めるために基礎部分を2メートル深くしたためだが、12月中の完成を目指すことに変わりはないという。

ただ、津波対策が完了したとしても、再稼働へのハードルは高い。浜岡原発から近い牧ノ原市の市議会は「永久停止」を求める決議案を可決しており、近隣の市町も、住民の不安が大きいとして再稼働に反対の態度を表明している。

野田佳彦首相は、原発再稼働に対して、地域住民の理解を得ることが前提だとの考えを強調する。しかし、国民の間に原発に対する不安が広がったのは、菅直人前首相が、稼働中の浜岡原発の突然の停止要請を出し、マスコミが放射能の不安をあおり続けることで、過度の恐怖心を与えてきたからではないか。

首相が火種となり、国民にたきつけ、マスコミがあおって収拾がつかなくなるというのは、沖縄の普天間基地移設問題と、まったく同じ図式だ。浜岡原発の突然の停止から、脱原発の論調が勢いを増し、全国の原発が定期検査から再稼働できず、現在稼働中なのは、わずかに2基となった。エネルギー危機が、いよいよ現実のものとなりつつある。

一方、隣の中国では5日、温家宝首相が全国人民代表大会の政府活動報告で、今後増大するエネルギー需要を満たすために、安全性を確保した上で原子力発電を発展させると表明し、原発推進を鮮明に打ち出した。

日本の脱原発という選択が本当に正しいのかどうかは、今後明らかになってくるだろう。日本経済が破壊され、石油依存が高まって喜ぶ国はどこか。脱原発が「日本の国益」になるか、それとも「隣の国の国益」になるか、今一度よく考えるべきだろう。(泰)

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2011年8月号記事 菅首相の脱原発による日本経済破壊を防げ 「今すぐ原子力発電所の再稼動を」 原発を救え!

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