北朝鮮の金正日総書記の死去を機に、南北朝鮮の統一をめぐる議論が本格化しようとしている。

韓国のシンクタンク「韓国経済研究院」が、韓国主導で2013年に北朝鮮を吸収・統一した場合、韓国の経済的な負担は2020年までの7年間に約14兆6千億円になるとの試算を発表した。

北朝鮮が改革・開放路線に転換し、一定の経済再建を果たした後に韓国主導で統一すれば、約6兆4千億円まで抑えられるという。

韓国政府は、金正日死去の事実を発表前につかむことはできなかったが、今後は、いつ北朝鮮の体制崩壊が起こってもいいように統一プランについて具体化を始めている。その下地となるのは、すでに李明博政権で検討されてきたプランだ。

2011年4月には韓国統一省が、北朝鮮の官僚らの安全を保障して国家統一の実務に当たらせるプランを発表。韓国政府の試算では、2030年の時点の統一の場合、事前に約53兆円、事後に大量破壊兵器などの管理や住宅復旧などで約184兆円かかるとしている(世界銀行の試算では約2~3兆ドル)。

韓国政府は巨額の負担に備えるため、一般会計予算とは別に「統一勘定」を設け、2012年度予算では統一関連予算を約700億円計上した。2010年8月には、李明博大統領が「統一税」の導入を提起している。

結局は南北統一には200兆円以上の資金をどう調達するかが問題となる。韓国のGDPの2倍にあたり、これをどう捻出するか。李大統領は北朝鮮に対する賠償金として、日本に対して1兆円余りを拠出することを求めている。

今後の半島経済の転換を考えれば、北朝鮮の鉱物資源が大きな資金源になり得る。北朝鮮はマグネシウムの世界一の埋蔵量を誇る。金、鉄鉱石、マンガン、タングステン、モリブデンも豊富にあり、150兆円から450兆円の価値があるとの評価も韓国内ではなされている。

日本の韓国に対する戦後補償は、1965年の日韓基本条約締結の際に、1080億円(3億ドル)の無償の経済援助金が支払われたが(そのほか有償資金協力2億ドル、民間の借款3億ドル)、これが戦後韓国の「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長の原資となった。その意味で、日本は単に「賠償金」を払うのではなく、北朝鮮の経済開発のために資金を提供し、日本と朝鮮半島の「自由主義圏」の共存共栄を目指していくべきだろう。(織)

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