2011年12月号記事

中米の国エルサルバドルで9月末、女性の権利を求める13の機関が集まり、大統領に対して人工妊娠中絶の合法化を求めるデモを起こした。

エルサルバドルはカトリックが国教だ。 カトリックは子供を授かることを神の恩寵と考えるため、器具を使った避妊や不妊手術を禁じており、母体に危険がある場合や犯罪による妊娠などを除いて中絶も認めない。 国によって許容度に多少の幅はあるが、同国は特に厳格で、理由を問わず法律で全面的に中絶を禁じている。今回のデモは、世界のフェミニズム団体の連帯活動の一環として実施された。

一方で、米国ミシシッピー州では11月、「受精の瞬間から、その存在は人間(person=人権を持つ個人)である」と定める州法が住民投票で成立する見込みだ。同州はキリスト教に基づく保守思想が強く、同州のプロテスタント牧師は「聖書に、私たちは子宮の中にいる時から人間だとはっきり書いてある。これに反する見解は聖書の指摘を無視することになる」と話している。同法案が成立すれば中絶は認められにくくなる。