英エコノミスト誌が最新号で「恐れよ。政治家たちが敢然と行動しなければ、世界経済はブラックホールに吸い込まれる」と警告する記事を書いている。

この記事では、欧州の政治家たちをやり玉にあげている。

「政治家たちの間違いは特に二つある。一つは短期的に緊縮財政に圧倒的な力点が置かれていることだ」「二つ目は正直さの不足だ。豊かな世界の政治家は有権者にこの問題の大きさを説明できていない。ドイツでは失業率が08年より低く、国民はこの危機はギリシャ国民やイタリア国民の怠惰の問題だと考えがちだ。メルケル首相は、ドイツの銀行も当事者で、負担の大きい解決策か、破滅的な決着かという選択に直面していると説得しなければならない」

事態はエコノミスト誌が恐れる方向に進んでいるように見える。この中で、日本の金融機関が存在感を増している。サブプライムローン危機の際には、三菱UFJフィナンシャル・グループが米金融大手モルガン・スタンレーに出資した。邦銀には欧米系金融機関からさまざまな支援要請がすでになされており、再び邦銀が欧米の金融機関に出資したり、流動性の供給を行う局面がやってきそうな情勢だ。

日本の政治家に「世界の金融危機を日本が救い得る」という意識があるかどうか。その点ではエコノミスト誌の指摘は、日本の政治家にも向けられている。(織)