チェルノブイリ原発事故の処理に携わったアルチュニン博士(ロシア科学アカデミー・原子力エネルギー安全発展問題研究所副所長)がこのほど来日し、都内で記者会見を開いた(7月7日)。重要な知見が述べられているので、主催の自由報道協会による翻訳から要点を抜き出しておきたい。

  • 日本政府は年間累積放射線量20ミリシーベルト以上を避難対象地域としているが、50ミリシーベルトや100ミリシーベルトに設定しても問題ない。
  • 国際放射線防護委員会(ICRP)は、「年間20ミリシーベルト以下ならば住民の生活を規制する必要はない」「20~100なら放射線量の低減措置を推奨」「100以上なら必ず放射線量の低減措置を講じなければらないが、必ず避難せねばならないものではない」としている。
  • 100ミリシーベルトの被爆で健康被害や後遺症が報告された例は一つもない。ICRPは健康被害が絶対に起こらないよう数値をあえて厳しく設定している。十分すぎるほど余裕をもって設定している。
  • 100ミリシーベルト以下であれば、いかなる健康被害も起こりえない。これは子供でも大人でも適用される数値。もし20ミリシーベルトという基準を設定すると、大量の人々が避難対象となり、社会的・経済的な問題も発生する。残念ながらチェルノブイリで同様の経験をした(基準を厳しく設定し、過大な避難を強制。結局、年間放射線量は10ミリシーベルト以下だった)。
  • 健康面の安全が第一だが、住民の社会的・経済的利益を考慮し、バランスのとれた決断をする必要がある。

奇しくも、本web記事「福島の住民に健康被害は起きない」と同じ結論だ。この中で高田純・札幌医大教授(放射線防護学)は「健康被害が出ない数ミリシーベルトの放射線を回避するために財産、農地、ふるさとを失うのか。私はここに残ってがんばりましょうと言いたい」と力説した。

いま政府やメディアで問題にしているのは、せいぜい数十ミリシーベルト前後の放射線量だ。アルチュニン博士は少なくとも100ミリシーベルトまでは健康被害が起きないと断言している。チェルノブイリ事故の処理に携わってきた専門家と、危険をあおる民主党政権やメディアのどちらが信頼できるだろうか。(織)

【参考記事】「放射線量調査 独占レポート 福島の住民に健康被害は起きない」(映像レポート含む)

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2338