佐賀県の玄海原発2,3号機の再稼働をめぐる問題で、古川県知事は1日、運転再開の判断をするためには菅首相からの説明が必要な要素であると語った。

この日知事は、県議会の特別委員会やその後の会見で、運転再開について早ければ今月中旬にも最終判断するとし、菅首相から原発の安全性やエネルギー政策についての考えを聞くことが「(運転を再開する)判断のために必要な要素」と話した。

古川知事の気持ちを代弁すれば、「菅首相自身が『原発を動かせ』と明言してくれれば、原発立地地域は安心して原発を動かすことができる」というところだろう。菅首相があいまいな基準で浜岡原発を止めたために全国の原発立地地域は混乱し、検査が終わった原発が動かせない状況に陥っている。今回はその混乱をつくった菅首相自身にボールが投げ返されたということだ。

この混乱の原因を突き詰めると、菅首相をトップにいただく民主党の「地域主権」という考え方に行き着く。これは沖縄の米軍普天間基地移設問題の迷走にも通じるが、聞こえのいい「地域主権」という言葉を使って、結局は政府のトップが判断すべき重要なことを地方に押しつけ、責任逃れをしているということだ。民主主義社会では幅広く国民の声を聞くことも大切だが、エネルギー問題や国防など国の存亡にかかわる問題については、国のトップが責任を持って判断しなければならない。

1日の東京電力の発表によると、この夏は全国的な電力不足で西日本からの電力融通がなく、柏崎刈羽原発の2基が定期検査に入るため、8月の供給余力は1.1%まで落ち込む見通しだ。ちなみに、安定供給に必要な供給余力は8から10%。このままでは日本の首都機能がマヒする可能性も否めない。古川知事が求めるように、菅首相が全国の原発に再稼働を指示する時は、今をおいてない。(格)