2011年8月号記事

本誌先月号では、国際政治アナリストである伊藤貫氏に、アメリカ・オバマ大統領の〝正体〟や、来年の大統領選の見通しについて語ってもらった。今回は、そのアメリカは本当に日本を防衛してくれるのか、日本の自主防衛はどうあるべきかについて、引き続きインタビューした。
伊藤貫氏インタビュー
(いとう・かん)1953年生まれ。東京大学経済学部卒。コーネル大学でアメリカ政治史・国際関係論を学び、ビジネス・コンサルティング会社で国際政治・金融アナリストとして勤務。著書『中国の核戦力に日本は屈服する』(小学館101新書)、『自主防衛を急げ』(日下公人氏との共著、李白社)。
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バランス・オブ・パワーで不利になった国は滅びる

私自身は「核武装をする」というよりも「自主的な核抑止力を持つ」という言い方をしています。「核武装」と言うと、核ミサイルで他の国と撃ち合いをしたがっていると思われてしまいますが、あくまでも「やむを得ないから抑止をする」ということが目的だからです。

日本の周りでは、北朝鮮もロシアも中国も核を持っているし、韓国も世論調査では、6割から8割の人が「核を持ちたい」と言っています。しかも、大半の韓国人は、統一朝鮮ができた場合も北の核を放棄しないと言っています。

そうすると、日本の周りは核武装国ばかりになってしまいます。我々は「それで生きていけるのか、それとも抑止力を持つべきか」という問題に直面しているわけです。