民主化を求める学生らを武力弾圧した中国の天安門事件から22年を迎えた4日、台湾の馬英九総統が、中国に民主化を促す声明を発表。獄中にいるノーベル平和賞を受賞した民主活動家の劉暁波氏や、人権活動家としても知られる芸術家の艾未未氏らの釈放を呼びかけた。

馬総統は毎年この時期に声明を出しているが、中国の政治改革について直接的に言及したのは初めて。

声明では、中国に対し、「民主主義と人権の状況は、輝かしい経済発展と比べると大きな落差がある」「国際社会の新たなるリーダーになるためにも、当局は勇気を出して政治改革を成し遂げ、民主化や人権、法治の進歩に努めることを強く願う」などとした。また、身柄を拘束中の劉氏らについて触れ、「異議を唱える人々の社会的価値観を大切にすべきだ」と釈放を呼びかけた。

民主主義の重視や人権問題への取り組みを強調した内容は、来年1月の総統選挙をにらんだ有権者へのアピールという見方もある。だが、馬総統は今年1月、中国の胡錦濤・国家主席のアメリカ訪問直前というタイミングで、政権発足以来、最大規模の軍事演習を行い、アメリカが台湾問題で中国に妥協しないようにけん制するなど、強気な姿勢を示している。

仮に、馬総統の中国への姿勢が有権者へのアピールだとしても、今の日本の政治家に真似することはできないだろう。(格)