菅直人首相が浜岡原発の全面停止を実質的に命令した問題に関連し、朝日新聞は11日付朝刊で、今夏に国内の原発54基のうち42基が停止する可能性があると報じた。今夏までに6基が定期検査に入り、安全性について地元の理解や同意が得られなければ、運転再開が難しくなるためだ。

原発42基が停止すれば、全原発の8割がストップする。この結果、火力や水力も含めた全電源の約2割が止まり、夏の電力ピーク時には、2割の経済活動を自粛しなければならなくなる。

日本の原発はほぼ1年に1回、定期点検に入る。日本は海外に比べ厳しい定期点検を義務付けており、アメリカやフランスの原発の稼働率75%に対し、日本はわずか40%。残る2割の原発12基が遅くとも来春にかけて定期点検に入る。再稼動するためには、福島原発の事故の影響から、「地元の理解や同意が必要」と各電力会社や自治体首長らは言わざるを得なくなっている。

ここで登場するのが反原発の市民運動だ。東日本大震災直後から、元市民運動家の菅首相の下には、昔の同志たちから「浜岡原発は日本で最も危険」というメールが次々と届いていたという。それが今回の浜岡停止の発端となった。

そして反原発運動家たちが求めているのが、「日本の全原発停止」だ。首相が中部電力に停止要請をした翌日の7日、東京都内では反原発派1万人がデモ行進し、「祝・浜岡原発停止」「すべての原発を止めろ」と訴えた。反原発グループの次のターゲットは、定期点検に入った原発の運転を再開させないことにある。「地域主権」を掲げる民主党政権は、沖縄米軍基地問題に見られるように、地元の意思をことさら尊重するだろう。

日本の全原発がストップすれば、全国の電力が3割カットされ、同時に経済活動もその分だけ減速せざるを得ない。

菅首相は10日、総電力に占める原子力の割合を5割に高めるとしていた政府のエネルギー計画を「白紙に戻す」と表明した。菅首相と反原発運動家がガッチリ手を握り、全原発を止め、「日本経済の3割を破壊する」悪魔のようなシナリオが現実化しようとしている。(織)

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【5月11日分ニュースクリップ一覧】
全原発停止」の悪魔のシナリオ 菅首相と反原発派がガッチリ連携
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