《本記事のポイント》

  • 北戴河会議延期の観測も
  • 会議では習近平派があらゆるテーマで責め立てられる
  • 「対外迷走・対内強硬」は政権が不安定な印!?

河北省の避暑地である北戴河で8月1日、毎年恒例の中国共産党の新旧幹部らによる非公式会議が開催された。

だが8日、中国共産党ナンバー3の栗戦書(全国人民代表大会常務委員長)が北京に戻り、全人代常務委員会を開いている。栗が北京に戻ったので、北戴河会議が終了したとの観測もあった。

習近平派があらゆるテーマで責め立てられる

しかし、台湾の自由時報が8月17日に「中国共産党上層部の暗闘は熾烈か? 北戴河会議はまだ開催中と伝えられる」という記事を掲載した。以下、内容を一部紹介したい。

北戴河会議の会期は延長されたようだが、その間「習近平派」が「反習近平派」にやり込められている。党内で、「習派」は責め立てられ、"四面楚歌"の状態だという。その理由は(1)経済の低迷、(2)「新型コロナ」の蔓延、(3)長江・黄河流域の洪水による水害、(4)深刻な食糧不足などである。

香港問題などの外交に関しても、習主席は党内から厳しい批判を浴びている。大半の共産党高官は、香港に株や不動産を持っているからである。一連の「戦狼外交」によって中国は、その国際的地位を失いつつある。

トップの座に座り続けようとしている問題についても、習主席は党内から猛反発を受けている。習主席は、今年10月に第19期5中全会を開催し、「14次5ヶ年計画」(2021年~25年)や「2035年の長期目標」を提出する予定だという。特に、「長期目標」に関して、習主席はあと15年間、トップを務めるつもりかもしれない。

とはいえ現実的には、かなり難しいだろう。現在、習主席は、国家主席・党総書記・中央軍事委員会主席の3つのトップに就いている。仮に2022年以降、習主席が党総書記・中央軍事委員会主席のポストを失ったとしよう。そして、国家主席だけの肩書となれば、その地位は"お飾り"となるのではないか。

目下、胡春華副総理が、習主席の後任と目されている。だが現状を見れば、李克強首相が習主席の後を継ぐ可能性も捨てきれない。

以上が、自由時報の記事である。

「対外迷走・対内強硬」は政権が不安定な印!?

先の記事を裏付けするように、大紀元が今年8月15日に「北戴河会議で『3つの柔軟と3つの強硬』が決まる」という記事を掲載した。それによると、習政権は北戴河会議で新政策をまとめたという。

その政策とは、「米国には柔軟に、西側にも柔軟に対応する、(軍事)行動についても柔軟に行う。だが、国内では強硬に、プロパガンダも強硬に行い、香港に対しても強硬に対処する」というものだという。

外交方針の迷走や内部への強硬姿勢からは、習政権が党内の各所から突き上げをくらい、不安定化していることがうかがえる。

アジア太平洋交流学会会長

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

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