《本記事のポイント》

  • フランシスコ教皇の初訪中が話題に
  • イエス・キリストの霊言の内容に、教皇守護霊は戸惑い
  • バチカンの親中姿勢の背後にあるもの

コロナ禍の中、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の「中国訪問」の可能性が話題になっている。

これはイタリアメディアがこのほど、バチカン国務長官の話として、教皇の訪問地が湖北省の武漢になると報じたもの。バチカンによる公式発表は行われていないが、教皇がこれまで、訪中に意欲を示していたことは事実だ。

近年、バチカンは使節団を北京に派遣したり、教皇が中国政府をたたえる発言をしたりするなど、中国共産党に融和的な姿勢を取っている。今後、どのような動きを見せるのだろうか。

そうした中、大川隆法・幸福の科学総裁が4月25日の午前中、著書『イエス・キリストはコロナ・パンデミックをこう考える』の校閲を行っていたところ、その内容に反応した教皇の守護霊が現れ、霊言を収録。その後、『ローマ教皇フランシスコ守護霊の霊言』と題した著書が5月19日に発刊された。

教皇の守護霊はコロナ禍などに関する「イエス・キリストとの意見の違い」に苦悩した様子を見せた。

中国に厳しいイエス・キリスト、融和的なバチカン

その日に校閲された霊言『イエス・キリストはコロナ・パンデミックをこう考える』において、イエス・キリストの霊が、中国に対して厳しい姿勢を見せていたことが明らかとなった。

イエス・キリストの霊は、新型コロナウィルスが「 武漢の研究所から漏れたものではないか 」とし、中国によるウィルス攻撃の可能性を指摘。新疆ウイグル自治区で核実験が行われているのも、他国が中国を攻撃した場合、漢民族ではない他民族が大勢亡くなるという人質戦略だとした上で、中国が世界をひざまずかせるようなかたちになることに「 ストップはかかるべき 」とした。

同時に、イタリアではコロナウィルスの感染者数が多く、死亡率も高いなど、カトリック圏の被害が大きいことについては、「 バチカンを滅ぼそうとしている 」ようにも見えなくもないと語った。

イエス・キリストの霊は総じて、中国の覇権主義に危機感を持ち、現実的な対応が必要とする立場を見せた。

一方、教皇の守護霊は、「 中国に行って、武漢の人たちのためにお祈りをするつもりでいるのに、イエスが違うことをおっしゃっていらした 」「 中国は一番の被害者なのに、皆が中国を責めるのも分からない 」と戸惑った様子だった。

さらには「 中国に地下のキリスト教徒が増えているから、それを救い出そうと思っていて、今、中国の和解を進めているところなのに、『憎しみ』を煽られたら、それができなくなる 」として、「 それぞれの長の和解 」により、平和を樹立しようとしている、との考えを示した。

争いを避け、平和のメッセージを発信しようとする背景には、「南米出身者としての帝国主義的侵略への問題意識」「イタリアに来て感じた『ファシズムの敗北』と、軍事的独裁者の出現への危機感」など、歴史認識の問題などが絡み合っていることも判明。習近平・国家主席の危険性は認識しているとしつつも、無力感を感じていると明かした。

バチカンの苦悩

イタリアは2019年3月、G7加盟国でいち早く、中国との間に「一帯一路」構想に関する覚書を締結した。これは、中国からの投資の増加などを見込んでのことだ。中国も3月、イタリアに医療支援とともにマスクを贈った。両国の関係はいっそう深まっている。

ただ、イタリアが中国に傾倒すれば、人口約2千人のバチカン市国も、当然その流れの中に入ることになる。無神論・唯物論の姿勢を変える見通しはなく、人権弾圧や宗教弾圧をやめない中国との接近は、危険極まりない。

19年に香港で大規模なデモが行われた際、カトリック教徒の活動家の要請があったにもかかわらず、バチカンは声明を出すことなく、沈黙を守った。その背景に、「中国との和解」によって弱者を救済したい、という教皇の強い思いがあるようだ。

しかし、「中国に利用されれば、取り込まれる」のも事実であり、中国は容赦なく弱者を弾圧してしまう。イエス・キリストの本心に沿うためには、別の考え方が必要だろう。

人々の幸福という観点からも、「一帯一路」の見直しと、「組むべき相手」の見直しに本格的に取り組むべき時だ。依然として「習近平主席の来日」を目指す日本政府にとっても、教訓となるだろう。

(河本晴恵)

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