木村 貴好

プロフィール

(きむら・たかよし)1971年、埼玉県生まれ。筑波大学第二学群生物学類卒。同大学院修士課程(環境科学)修了、同農学研究科博士課程単位取得後退学。博士(農学)。応用昆虫学分野の研究を行う。農業生産法人、茨城県農業総合センター生物工学研究所を経て、2008年、幸福の科学に奉職。現在、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティの未来産業学部アソシエイト・プロフェッサー。「自然と環境」「基礎生物B」などの授業を担当。著書に『スピリチュアル自然学概論』。

スピリチュアル自然学概論

スピリチュアル自然学概論

木村貴好著

HSU出版会

心の時代を切り拓く、あるいは新しい科学の道を拓くための前提として、個人が「心に目覚める」にはどうしたらよいのでしょうか──。

そのためには、人間の能力として一番上に立つ「悟性」を磨くことが大事です。

その方法は、この連載の中でも紹介していきたいと思いますが(大川隆法著『心に目覚める』参照)、少なくとも、「独り静かに考える時間」「自分の心の内を見つめる時間」が必要になります。

連載内容は生物学がテーマですが、顕微鏡の使い方や実験動物の解剖の話題ではなく、心を見つめることを冒頭にもってきています。なんということでしょう! でも、それが生命を探究するために、生物の見方を変えるには必要なことなのです。

自然を物質として扱うようになったのは、ひょっとしたら近代哲学の祖ルネ・デカルトが、時代に"魔法"をかけて以降のことかもしれませんが、その魔法を各人が解かなくてはいけないのです。

自然の奥にあるもの

魔法の解き方は、先に述べた悟性を磨く方法と重なるのですが、まず自らの中の悟性の力に気づかなくてはいけないでしょう。

「実は、悟性というものは、地上にあるすべての営みを超えた自分を見つめるところから始まっていきます」(前掲書)

本能や喜怒哀楽などの感情、理性、知性、意志などを超えて、心の中の悟性に気づき、悟性を磨くことで肉体を超えた自己に到るのです。

簡単に書いてしまいましたが、それには長い長い修行の過程が必要かもしれません。ただ、ここでは少し省略して先へ進むと、修行によって、自らの中の霊性と、さらに自然の奥にも物質を超えた部分があることが分かってきます。

その領域が、未来科学が探究すべき対象であり、その探究によって、生命の生命たる本質に迫る世界が開けてくるのです。

それは、動物や植物の個々の気持ちや感情といったものだけではなく、その奥に自然全体、生命全体、生きとし生けるものへ投げかける、熱いまなざしがあることが確信できるようになるのです。

自然は決して、目に見えて手に触れるものだけでできているのではありません。高次の存在から低次の霊までの階層をもちつつ、エネルギーでつながった大きな存在のように思えます。自らの心を磨き、心境を高めることで、そうした次元の霊的存在が分かるようになってくるのです。

前回のたとえで言えば、網という道具を使うと、その網目より小さな魚はとれないが、だからと言って小さな魚がいないわけではない。肉体の感覚器官で捉えられないからといって、目に見えない存在がないわけではないのです。小さな網目の網を努力してつくれば、小さな魚もとれるでしょう。