「国造りへの志」を語る - 日本に精神的主柱を取り戻すために

「国造りへの志」を語る - 日本に精神的主柱を取り戻すために

 

2019年6月号記事

 

「国造りへの志」を語る

日本に精神的主柱を取り戻すために

 

明治維新は幕末の教育者であり革命家だった吉田松陰の志と情熱からスタートした。
新しい国造りにはどのような志が必要か。松陰神社名誉宮司の上田俊成氏と、
幸福実現党山口県本部代表の河井美和子氏が語り合った。

(聞き手 編集部 小川佳世子)

 

 

松陰神社
名誉宮司

上田 俊成

プロフィール

(うえだ・とししげ) 1941年、山口県長門市生まれ。國學院大學史学科卒。飯山八幡宮宮司、山口県神社庁庁長、神社本庁理事、山口県文化連盟会長などを歴任。現在、神社本庁研修委員、山口県神社庁顧問を務める。

河井氏(以下、河): 上田宮司との出会いは、3年前、私が国政選挙に出馬した際、松陰神社で必勝祈願を受けさせていただいたことがきっかけでした。

上田氏(以下、上): あれが最初でしたか。祈願の後、少し話をさせていただきましたね。

河: 松陰先生の論文「学校を論ず 附作場」のお話でした。国を背負って立つ技術者をつくる。同時に作業場もつくり、実践も大切にする、と考えておられたと聞きまして、目からうろこが落ちる思いがしました。

 あのお話で、国民の底力を政治の力で引き出して、再び、三度、経済成長を起こすことは可能だと確信できたんです。

上: そうですね。幕府を倒すだけでは無責任ですから。その後の日本をどうするかというところまで押さえておられたのです。

 

 

勤勉さは日本成長の原動力

幸福実現党
山口県本部代表

河井 美和子

プロフィール

(かわい・みわこ) 1962年、山口県周南市生まれ。明星大学人文学部卒業後、山口放送興産に入社し、2009年の立党と同時に幸福実現党に入党。現在、幸福実現党山口県本部代表を務める。山口県スケート連盟会長。

河: 経済成長といえば、今の政府は「働き方改革」など、民間企業の成長を阻害する政策が多いように感じます。

上: 一番苦しいのは中小企業じゃないかと思いますね。大企業なら休みを取れても、中小企業の皆さんは難しいでしょう。

河: おっしゃる通りです。私も今、さまざまなお店や企業にご挨拶に回っていますが、中小企業の苦しみの声をたくさん聞きます。

上: そもそも、日本がこれだけの力を持つようになったのは、日本人の勤勉の精神があったからだと思います。

河: はい。日本人の心に根付いている美徳が失われてきていることが残念です。最近の小学校からは二宮金次郎の像が撤去されていると聞きます。

上: 歩きながら本を読むことはけしからんとかいう話ですね。

河: ええ。歩きスマホは危ないという声が出たそうで。

上: そんな理由で撤去してしまう「軽さ」は問題です。二宮金次郎の像が教えているのは勤勉の精神であって、その本質を大切にするべきでしょう。

 

 

公共性・国家性を伴う志を

河: 大切にすべきものといえば、神々や目上の人たちに対する尊敬心があると思います。松陰先生は、「尊王攘夷」を主張され、天皇陛下を中心とした国づくりを考えておられました。

上: 妹の千代さんに宛てた松陰先生の手紙に、「わが杉家には、りっぱな家風がある。神様を敬うこと、祖先を尊ぶこと、親類とむつまじくすること、学問を好むこと、勤勉に働くこと」という言葉があるんです。

河: みんな日本人が大事にしてきた精神ですね。最近の教育ではこうしたものを教えなくなっていますね。そのためか、高度な学業を修めた人で、世の中の役に立ちたいという志を持つ人が減っているように思います。

上: 松陰先生は志の大切さを繰り返し語られました。志が定まれば、全力を傾けて努力できるので、半分くらい実現できたようなものだと。ただ、この志には「公共性」「国家性」がなければならないでしょう。

 その意味で、私は志を持つことは若者の特権とは思いませんよ。年齢を重ねると共に、志もより高みを目指して変化してよいのではないでしょうか。

河: はい。私も新しい国造りの志を抱いて日々活動しています。

上: 私も70を超えましたが、神主として「すべての人が幸せであってほしい」という志を抱いていますよ。そして、天皇陛下がずっと国民の幸せを祈っておられるご存在であることを多くの人に知っていただきたいと思っています。

河: 私たちの幸せを願っておられる存在がいらっしゃることへの感謝を忘れてはいけませんね。

上: ええ。松陰先生の「尊王」の精神とは、皇室の制度という「かたち」のことではなく、敬いの心が入っていたと思います。

 

山口県萩市にある松陰神社には、連日多くの参拝客が訪れる。境内には数多くの維新の志士を輩出した松下村塾が今も残る。左写真は塾の講義室。

 

 

国造りに命をかける

河: やはり、目に見えないものを信じる心がなければ、国造りに命をかけることはできません。松陰先生の遺書『留魂録』には、人生を四季にたとえられて「私は三十歳にして四季を終えるが、同志である塾生が、私の誠の心を受け継いでくれたなら、私の人生も収穫があったといえるだろう」という内容があります。永遠の生命を確信されているからこそ、尊いものにご自身を捧げる生き方をされたと思います。

上: その通りですね。神道では「中今」という思想があって、今ここにいる私たちには、祖先から受け継いだものを子孫につないでいく責任があると考えます。だから一生懸命に生きなければいけない。

 さらに私たちは、地域、職場、学校など、同世代を生きる人とのつながりで生きています。その構成員である個人が間違った生き方をすれば、人の輪は美しい輪ではなくなると教えます。

 先祖と子孫のつながり、同世代のつながりを含め「つながりの信仰」と呼んでいます。

 

 

国を守る気概が一番大事

馬関戦争で長州藩が欧米列強を迎え撃った大砲のレプリカ。下関市にある。写真:WorldStock / Shutterstock.com。

河: 「攘夷」といえば、現在は、中国の脅威があります。人権を大事にしない中国が軍拡を続ける一方、日本は国防強化ができず、手足を縛られています。明治維新は国防への危機から始まったと言われていますが、今の状況を松陰先生がご覧になったらどうおっしゃるでしょうか?

上: それは間違いなく「国防をちゃんとしろ」「何をやっておるのだ」とおっしゃるでしょうね。

 松陰先生が詠まれた歌に「備とは艦ととの謂(意味)ならず 吾が敷洲の大和魂」というものがあります。つまり、国防とは、戦艦や大砲のことだけではなく、「大和魂」が必要だと。これは、日本の信仰風土を踏まえた、叡智、智慧、心、魂を大事にしなさいということです。

 長州藩が馬関戦争で四カ国連合艦隊と戦いましたよね。負けることは分かっていたでしょうが、何も抵抗しなければ欧米諸国に飲み込まれるという危機感があったのだろうと思います。

河: 私も下関で小さな大砲のレプリカを見て、当時の人たちの大和魂に心を打たれました。

上: 当時の欧米諸国は、「半文明国」と「未開国」は植民地にしていいと考えていましたからね。もし、長州が何の心意気も見せなかったら、不平等条約の押し付けだけでは済まなかったかもしれません。

河: 私たち幸福実現党も、「今の政府では北朝鮮や中国の核に対抗できない国になる」という危機感から立党しました。国防の危機感から始まった明治維新の精神と共通しています。

 

 

日本に精神的主柱を

河: そして、政治活動を通じて日本に精神的主柱を取り戻したいのです。今の政府は、選挙に勝つための小手先の政策をやっているように思えてなりません。

上: ええ。あまりにも安易な政治になっていますね。

河: 中国が行っている「一帯一路」は、事実上の植民地政策です。これを政治家も経済界も見抜けない。政治とは、先が見える人が、このままではいけないと志を持って立ち上がり、行動し、世の中を変えていくことにその本質があります。これまで宮司から学んだことを実践し、必ず日本の精神を取り戻していきます。

上: 誰かがやらないといけないことですから。ぜひ、頑張ってください。今日は大変有意義でした。ありがとうございました。

河: ありがとうございました。誠心誠意頑張ってまいります。

 

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