日下 公人

プロフィール

(くさか・きみんど)1930年、兵庫県生まれ。三谷産業株式会社監査役。日本ラッド株式会社監査役。東京大学経済学部卒。日本長期信用銀行取締役、(社)ソフト化経済センター理事長を経て東京財団会長を務める。未来予測が正確なことには定評がある。最新刊『「発想」の極意 :人生80年の総括』など、著書多数。

今年4月30日で、30年以上続いた平成が終わります。

「ソフト化・サービス化」の時代をいち早く予見し、日本経済のナビゲーターとして活躍してきた評論家・日下公人氏に、平成を振り返っていただきました。

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天皇陛下の退位について

──今年4月30日に天皇陛下が退位され、5月1日に皇太子様が新天皇に即位されます。日下先生は、最新刊『「発想」の極意』の中で、「天皇の『祈り』が日本のビッグシステムを支えている」と指摘されています。

日下氏(以下、日): 天皇の主たる務めは祭祀です。天照大神に対し、年間24回も祈っています。

例えば、大みそかの日には、国民のためのお祓いの行事である「大祓い」を行います。天皇は、宮中三殿の側に設けられた質素な仮屋に入り、寒い中で玉砂利の上に座って、「今年一年、こうしたことがありました。それはみな私の不徳のいたすところですから、国民を罰することなく、私を罰してください」と祈られるそうです。

国民は「ああ、申し訳ない」と思わなければおかしいですね。しかし国民の多くは「それは宮中行事であって、自分には関係ない」と考えているので、残念です。

三重県に天照大神を祀った神社はいくつあると思いますか。理由は分かりませんが、三重県にだけ異常に多く、30ほどあります。日本国民の間に、天照大神への信仰が根づいていることを意味しているのだろうと思います。