13日付の米紙ニューヨーク・タイムズによれば、政府と反体制派との戦闘が続くリビアをめぐって、22カ国で構成するアラブ連合は12日、飛行禁止区域の設定を国連安保理に要請した。アラブ諸国が西側の軍事作戦を要請するのは異例のことである。リビアへの介入については、中国とロシアが内政不干渉を理由に反対してきたが、今度の要請は安保理決議へ向けた圧力にもなりそうだ。

中東への欧米の武力介入は、「植民地主義の再来だ」という反発を招きかねないことから、周辺のアラブ諸国の賛否が飛行禁止区域の設定を巡る一つの焦点となっていた。今回の動きを受けて介入に向けた問題は一つクリアされたわけだが、飛行禁止区域の効果は未知数な上、ゲーツ国防長官が危惧するようにリビア空軍基地空爆を含めた全面介入に拡大するリスクもはらむ。二つの戦争で米軍がオーバーストレッチしている中で、カダフィ氏退陣後の道筋が描けないまま介入に踏み切ることのリスクは大きいだろう。オバマ大統領は態度を保留しているが、「リビア人を見殺しにするのか」という世論の声も強く、エジプトのケースと同様に、国益と世論との板ばさみの中で難しい外交選択の岐路に立たされている。

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