躁うつ、見捨てられ不安、自信喪失感…… 精神科医がおすすめする心を浮かせる名作映画(14)

躁うつ、見捨てられ不安、自信喪失感…… 精神科医がおすすめする心を浮かせる名作映画(14)

 

仕事や人間関係に疲れた時、気分転換になるのが映画です。

 

その映画を選ぶ際に、動員数、人気ランキング、コメンテーターが評価する「芸術性」など、様々な基準があります。

 

アメリカでは、精神医学の立場から見て「沈んだ心を浮かせる薬」になる映画を選ぶカルチャーがあります。一方、いくら「名作だ」と評価されていても、精神医学的に「心を沈ませる毒」になる映画も存在します。

 

本連載では、国内外で数多くの治療実績・研究実績を誇る精神科医・千田要一氏に、悩みに応じて、心を浮かせる力を持つ名作映画を処方していただきます。

 

世の中に、人の心を豊かにする映画が増えることを祈って、お贈りします。

 

今回は、気分の波が激しい人に向けたものです。

 

◆                   ◆                   ◆

 

(1)「世界にひとつのプレイブック」(★★★★☆)

まずご紹介するのは、「世界にひとつのプレイブック」(2012年、アメリカ映画、112分)。

 

愛する人を失い心に傷を負った男女が人生を再起させていくという、ヒューマンタッチ映画です。躁うつ病をテーマにしており、こうした心の病が薬物療法では治らないことが納得できる内容です。

 

高校の歴史教師だったパット(ブラッドリー・クーパー)は、妻の浮気が原因で心のバランスを崩し、「躁うつ病」で強制入院させられます。退院後は、実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリを開始。ドクターや家族からは薬を勧められますが、頑なに拒否します。

 

そんな折、近所に住む未亡人・ティファニー(ジェニファー・ローレンス)と出会いますが、ティファニーはその愛らしい姿からは想像もつかない過激な発言と突飛な行動を繰り出し、パットを翻弄。実は彼女も、夫を事故で亡くし自暴自棄になっていたのでした。孤独感から、相手を選ばず肉体関係を持つ、一種の"恋愛依存症"になっていたのです。

 

そんなティファニーはある時、立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意し、強引にパットをパートナーに引き込みます。さあ、彼らの人生再生計画は成功するのでしょうか?

 

現代医学では、「躁うつ病の7~8割が遺伝で決まっており、一生薬を飲み続けなければならない」とされています。ただ、本作のパットのように、対人関係から得る学びで治ってしまうことがあります。薬による対処療法ではなく、「思考を変える」ことで根本治療できるのです。

 

気分の波が激しくなってくると、「躁症状」と「抑うつ症状」を繰り返す「躁うつ病」になったり、激しい自己否定の思いや「見捨てられるのではないか」という強い不安感が生じたりする、「境界性パーソナリティ障害」と診断されることがあります。

 

こうした症状の原因としては、自分の欠点ばかりが気になる「完璧主義」が挙げられます。

 

自分の長所より短所が気になるので、自尊心が低下してくる。自尊心が低下すると、自己否定して「うつ状態」になったり、自信のなさを隠そうと無理をして「躁症状」なったりと、気分が乱高下する。また、内面の自信のなさを「体型」で補おうとして、摂食障害(いわゆる拒食症や過食症)になることも少なくありません。

 

自尊心を上げる方法としては、「ほめ日記」があります。

 

ただ、いきなり自分をほめるといわれても、何をどうすれば分からない人も多いでしょう。そこで、ほめ日記についての簡単なポイントを以下に挙げてみます(手塚千砂子「ほめ日記実践ガイド」三五館、2012年を参考)。

 

  • (1)内面(性格や心の動きなど)をほめる:実際行動に移せなかったとしても、善きことを思っただけでも自分をほめること。

  • (2)行動や働きをほめる:思っただけでなく、実際に善きことを実践できれば、それはさらに素晴らしい。

  • (3)感覚や感性をほめる:人間として喜怒哀楽があるのは当然。感情が豊かであるとほめることができる。

  • (4)やらなかったことをほめる:お金を無駄遣いしない、無駄話をしない、時間を無駄にしないなど、無駄なことをやらなかった自分をほめることもできる。

  • (5)努力のプロセスをほめる:結果重視の完璧主義者の人は、結果が伴わなければ無意味だと考えがちだが、結果がまだ出ていなくても、その努力の過程を楽しむ姿勢が大切である。

 

ほめ日記を日常に組み込み、自分をほめる「ポジティブ思考」を潜在意識にすり込むためには、次のような行動を習慣付けるといいでしょう。

 

  • (1)朝の起床時や夜の就眠前など一日の一定の時間を感謝する時間として決める。5分程度の短い時間でもかまわない。

  • (2)毎日とにかく絶やさず、ノートに自分のほめるべきポイントを少なくとも3~5個以上書く。

  • (3)時々ノートを読み直して、自分の「ほめ能力」が向上していることを確認する。落ち込んで自信を失っている時にもノートの読み返しが有効。ほめ日記を書く際のコツは、あまり他人と比べないこと。

 

 

(2)「インターン!」(★★★★★)

次にご紹介する映画は、「インターン!」(2016年、日本映画、103分)で、「就活」をテーマにしたスピリチュアル映画です。

 

大学三年生の川倉晴香(新木優子)は、親友の浜崎真希(岡本杏理)に誘われ、ある企業のインターンシップ説明会に参加します。晴香はそこで、代表取締役CEOの牧野正幸(風間トオル)の講演を聞くものの、就活へのモチベーションが上がらず応募を諦めようとします。しかし、真希が無理やりエントリーシートを提出させます。

 

その帰り道、晴香は車にはねられそうになりますが、偶然居合わせた牧野がそれを助け、晴香の身代わりとなって瀕死状態に。牧野が目を覚ますと、病院の集中治療室で横たわっている自分自身がいました。そこに死神が現れ、交通事故で死ぬ運命だった晴香を助けたことで、牧野が死ぬ運命に変わってしまったと告げられます。さらに、二人とも助かるには、晴香の未来を変える必要があるといいます。

 

牧野は、晴香がインターンで成績優秀者となって入社パスを手に入れられれば、未来を変えることができると考え、真希に憑依して晴香のインターンをサポートすることに。しかし、自信がなく優柔不断な晴香は、なかなかいい成績が取れません。晴香は、無事入社パスを手にし、二人の運命を変えられるのでしょうか?

 

本作は、「人間は永遠の生命を持ち、転生輪廻を繰り返しながら魂を成長させている存在である」という、「霊的人生観」に基づいたつくりになっています。晴香は、人生は無目的なものではないと気づき、今世の目的を持つことでだんだん自信を取り戻していきます。

 

自尊心を向上させるためには、「ほめ日記」だけでなく、「霊的人生観を持つ」ことも大切だと教えてくれる作品です。

 

 

(3)「17歳のカルテ」(★★★☆☆)

最後にご紹介する映画は、「17歳のカルテ」(1999年アメリカ映画)で、「自己否定」のため情緒不安定になる「境界性人格障害(ボーダーラインパーソナリティ障害)」を描いた、実話に基づくストーリーです。

 

17歳のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は、世間体を気にする両親に自分の気持ちを理解されず情緒不安定になり、ウォッカでアスピリンを大量服用して精神病院に入院。そこで、境界性人格障害と診断されます。しかし、精神病院の厳しい監視下をかいくぐって病院を脱走し、既に退院した少女の家に身を寄せることに。しかし、その少女は父親と肉体関係を持っていることがバレたことで、自殺してしまうのです。ショックを受けたスザンナは、病院に戻ります。

 

自殺した少女に何もできなかったスザンナは、これまでの生き方を反省し、自分の気持ちを日記に記すように。徐々に、精神科医や看護婦に思いを打ち明けられるようになり、気分が安定。退院するに至ります。

 

境界性人格障害では、ほとんどの患者が「親へのとらわれ」を抱えています。特に、親から愛されてこなかったという“愛欠乏症"に陥っています。その不全感を満たそうとして、周囲の人々を困らせ、自分に関心を引かせようとするわけです。

 

心理学の疫学研究では、環境が変わっても境界性人格障害の根本解決にはならないことが分かっています。周りから愛してもらおうとするのはやめて、自分で自分自身のことを愛してあげることで症状は好転していきます。

 

自分を愛して自信を持ってきたら、さらに、人のお役に立てるよう「奉仕の心」を持つことです。「奪う愛から与える愛へ」は境界性人格障害だけでなく、幸福になるための普遍的法則です。

 

他には、以下のような映画がオススメです。

 

「私は『うつ依存症』の女」(★★☆☆☆)

アメリカの作家でジャーナリストのエリザベス・ワーツェルの自伝映画です。エリザベスは、念願の名門ハーバード大学に入学。美しく魅力的な彼女は、若くしてすでにライターとしての才能を高く評価されていました。しかし、彼女は複雑な心理的葛藤を抱えていました。夫と別れた母親からの異常なまでの期待、ほとんど途絶えてしまっている父親との微妙な関係、そして、自分の身体を傷つけてしまう「うつ」の症状……。

 

 

「キセキ -あの日のソビト-」(★★★★☆)

メンバー全員が歯科医師で、医療業務との両立のため、顔を伏せて活動する覆面ボーカルグループ、GReeeeNの誕生秘話に迫った実話映画。GReeeeNのリーダー・ヒデの父親は、学歴信仰と職業差別を持ち、「医者でなければ、人間を幸福にできない」と信じる人物。ヒデも自分の音楽の才能に自信が持てず、一歩を踏み出せません。しかし、患者の一人が、ヒデの音楽を聞いて生きる力を取り戻していく姿を見て、自信を取り戻します。

 

 

幸福感の強い人弱い人

幸福感の強い人弱い人

千田要一著

幸福の科学出版

精神科医

千田 要一

(ちだ・よういち)1972年、岩手県出身。医学博士。精神科医、心療内科医。医療法人千手会・ハッピースマイルクリニック理事長。九州大学大学院修了後、ロンドン大学研究員を経て現職。欧米の研究機関と共同研究を進め、臨床現場で多くの治癒実績を挙げる。アメリカ心身医学会学術賞、日本心身医学会池見賞など学会受賞多数。国内外での学術論文と著書は100編を超える。著書に『幸福感の強い人、弱い人』(幸福の科学出版)、『ポジティブ三世療法』(パレード)など多数。

 

 

 

【関連サイト】

ハッピースマイルクリニック公式サイト

http://hs-cl.com/

 

千田要一メールマガジン(毎週火曜日、メンタルに役立つ映画情報を配信!)

http://hs-cl.com/pc/melmaga/hsc/?width=550&height=500&inlineId=myOnPageContent&keepThis=true&TB_iframe=true

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『幸福感の強い人弱い人 最新ポジティブ心理学の信念の科学』 千田要一著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=780

 

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