1900年前後の女性看護婦の様子。提供:MeijiShowa.com/アフロ

2018年9月号記事

明治維新150年

命もいらず、名もいらず
日本を守り抜いた

無名の英雄たち


contents


靖国に祀られた看護婦

日清戦争

岩崎ゆき

Yuki Iwasaki

1877年生まれ。日本赤十字の看護婦だった岩崎は、広島陸軍予備病院で活躍するも、感染症で亡くなる。国のために尽くした功績により、1929年、靖国神社に祀られた。

日清戦争(1894~95年)では、日本男児の武勇伝が語られることが多いが、実は、女性も奮闘していた。

その一人が、日本赤十字社京都支部の看護婦だった岩崎ゆき。17歳の岩崎は、数多くの候補者から選抜され、中国戦線で感染症をわずらった兵が収容される広島陸軍予備病院に赴任した。

当時について、 前出の小名木氏 は「看護はもともと、男性の仕事でした。陸軍でも当初、予算と風紀の問題により、女性の受け入れには否定的でした。軍人が女性問題を起こせば、軍の名誉が失墜するためです。ただ赤十字の強い要請により、少数の女性を受け入れました。岩崎はその一人です」と話す。

次ページからのポイント

「命を喜んで捧げる時が来た」

元朝日記者の自己犠牲に敵国が感動

台湾で神様となった3人の日本人 / インタビュー 黄文雄氏