「ものづくり」で徳島を盛り上げる - Interview 地域を発展させる「秘策」 徳島県

「ものづくり」で徳島を盛り上げる - Interview 地域を発展させる「秘策」 徳島県

 

2018年9月号記事

 

Interview

 

地域を発展させる「秘策」 徳島

全国で活動する幸福実現党の代表者に、地域発展の提言・取り組みについて聞いた。

 

「ものづくり」で徳島を盛り上げる

 

徳島を発展させようと活動を続ける福本功氏が、徳島県海部郡を訪れ、あるべき地方創生の姿を考えた。

(聞き手・片岡眞有子)

 

 

幸福実現党徳島県本部
徳島市地区代表

福本 功

プロフィール

(ふくもと・いさお) 1959年、徳島市に生まれる。徳島県立徳島商業高等学校を経て、大阪産業大学経営学科を卒業。その後、家業の繊維会社を継ぎ、三代目社長に就任。

 

濵﨑 禎文

プロフィール

(はまさき・よしふみ) 1945年、徳島県海部郡海陽町に生まれる。かいふ農業協同組合の代表理事組合長を務める。99年、かいふ農業協同組合理事に就任。2015年から現職。

 海や山の豊富な食材に恵まれ、「関西の台所」として発展してきた徳島。藍や人形浄瑠璃など豊かな文化もあり、400年続く阿波おどりは、毎年120万人以上の観光客が集まる。

 そんな魅力あふれる土地だが、人口減少やシャッター街など、深刻な問題も抱えている。

「愛する徳島を発展させたい」

 そう語るのは、徳島市の中心部で創業65年の繊維会社「福本繊維」の三代目社長を務める福本功氏だ。同社は、農作業着や割烹着、お遍路衣装など、動きやすさを追求した着心地のいい商品を提供している。

 徳島市で生まれ育った福本氏は、社長業の傍ら、幸福実現党の徳島市地区代表として、地域を活性化する取り組みや、ボランティア活動を行っている。

 2014年には、地場産業に関わる事業主や作家が集う「クリエイティブ徳島協同組合」を発足。大企業や安い輸入品に押される地場産業の衰退を食い止め、中小企業のものづくりの技術を次世代に継承できるよう、地場産品の販売展などに取り組む。市の防犯委員にも所属し、学校周辺をパトロールするなど、安心できる地域づくりに一役買っている。

「徳島に恩返しするのが喜びです。四代目の息子も入社したので、ますます地域のために汗をかきたい」(福本氏)

 

 

産業が雇用を生み、若者を呼ぶ

 福本氏は、地場産業の発展について次のように話す。

「それぞれの地域には、町おこしの基点があります。例えば、徳島の上勝町では、里山の葉っぱや花を料亭に出荷する『葉っぱビジネス』が、年間2億6千万円を売り上げ、一大産業になっています。産業が盛り上がれば雇用が生まれる。雇用があれば移住者も呼べます」

 徳島の南端にある海部郡は、促成キュウリの養液栽培で若者の移住就農を推進する「きゅうりタウン構想」を打ち出し、すでに若者を何組も迎えている。

 徳島で進む新たな試みを学ぶため、福本氏は7月、基点となったJAかいふを訪れた。

 

 

農家数が3分の1以下に

台風にも耐え得る強靭なつくりのハウス。

 

県内を走るバスの車両にも、ポスターが貼られた。

「温度や二酸化炭素濃度、養液のpHなど、すべてコンピュータで管理しています」

 JAかいふの濵﨑(はまさき)禎文組合長が指差すのは、高さ6.5メートル、幅24メートル、奥行き36メートルの巨大なビニールハウスだ。

 ハウスに入ると、青々とした大きなキュウリの葉が目に飛び込んでくる。葉をめくると、みずみずしいキュウリが鈴なりだ。

 徳島市から車で2時間ほどの海部では、戦後、冬場でも多い日射量を生かしたキュウリの促成栽培が盛んになった。10アール当たりの収量は全国2位だ。

 しかし、100戸以上あったキュウリ農家も徐々に減少し、近年は30戸ほどに。70年続く産業は危機を迎えていた。背景にあったのは、後継者不足だ。全国の地方と同様、若者が仕事のない地元を離れてしまう。

「どないかせんといかんなあ」

 2013年ごろ、濵﨑(はまさき)組合長は、当時経済部長だった部下の豊田穂氏にそう投げかけた。

「うちには、キュウリくらいしかないんちゃうか」

 キュウリしかない―。

 そんな状況を逆手に取ったのが、キュウリ栽培の再興と雇用創出を合わせた、「きゅうりタウン構想」だ。促成栽培用のハウスをつくって若者を呼びこもう。

 そう考えたが、ハウスをつくるだけで若者は来てくれない。未経験者を短期間で農家に育てる施策が不可欠だった。

 他の農産物と同様、キュウリ栽培も土づくりが命。この作業だけで3~5年はかかる。養液栽培にすれば、この時間を短縮できる。ただ、キュウリの養液栽培の技術は確立されておらず、農協単体での実現は難しい。ツテをたどり、東京の明治大学を訪れた。

「難しいけど、できる限り協力させていただきましょう」

 熱心に語りこむと、理事長自ら快諾。こうして明治大学の協力の下、JAかいふは、全国に先駆けてキュウリの養液栽培に取り組むことになった。

 

 

「生きがい」が地方創生の要

促成栽培のキュウリは、皮が薄く、シャリシャリとした歯ごたえが特徴。右手前が豊田氏。

「移住してきた人にとって、キュウリ栽培が生きがいになるといいですね」

 福本氏は、ハウスを見つめそう述べた。地方創生と生きがいづくりが、切っても切れない関係にあると考えるからだ。

「仕事は、単に収入を得るための労働ではなく、社会や人のお役に立てる場です。自分の仕事が誰かの幸せにつながる。それこそが人生の生きがい。そうした生きがいの場を地域に増やすことは、地方創生の要です」

 同業の中小企業が次々と倒産していく中、福本氏は、全国を巡りながらマーケットを開拓し、経営を安定させてきた。

 特にものづくりは、一度途絶えると、技術も失われてしまう。

「農業や製造業など、モノをつくる生産者がどんどん減っています。現代はIT技術による流通業が注目されていますが、モノがあっての流通です。後継者不足で貴重な技術が失われないよう、産業を効率化して、次世代に継承する必要があります。海部のような、ものづくりを発展させる取り組みが、全国で求められているでしょう」(福本氏)

 

JAかいふでは、移住してきた若者に向けて研修を行っている。
上のホワイトボードは、研修を受けた若者がキュウリ栽培のポイントをまとめたもの。

 

 

「全国のモデルになる」

 養液栽培に加え、「きゅうりタウン構想」の特徴として、行政との連携が挙げられる。農協と、海部郡の3町、そして徳島県が連携して取り組んでいる。

「せっかく町おこしをするなら、行政も巻き込んで全国のモデルになるようなことをしたい」

 そう考え、県や海部郡3町に協力を依頼してまわった。濵﨑(はまさき)組合長とともに、プロジェクトを中心的に進めた豊田氏は、構想が発足した当時を振り返ってこのように語る。

「最初は海部のことを考えてスタートしました。でも組合長が、『日本の農業のモデルとならないかん』と、途中からハンドルを切り直したんです。そうすると、いろんなところから協力をいただき、技術や資金が集まってきました」

「日本の農業のモデルになる」という言葉を実践するように、JAかいふは、養液栽培技術やハウス内部を一般公開している。

「自分の代が幸せになったらええ、ではいかん。自分だけよければいいと姑息にしよったら、自分の限られた器でしか発展しません」。濵﨑(はまさき)組合長の言葉に、福本氏は深くうなずいた。

「自他ともによくなっていくという利自即利他の精神は、まさしく、徳島が発展するために求められているものですよね」

 さらに福本氏は、力を込めてこう語った。

「海部のように、徳島には全国に誇れる取り組みがたくさんあります。そうした魅力を掘り起こすためにも、徳島市の求心力を上げる必要がある。例えば、県内の交通インフラを充実させて、中心部と郊外を近づけたい。そうすれば、人とモノの動きが早まり、市町村の連携もやり易くなります」

 より広い「公の心」を持った人々が数多く現れ、産業の改革・創出に取り組む。行政は、インフラ整備やネットワークの構築でそれをサポートする。濵﨑(はまさき)組合長や福本氏のような、未来への強い思いを持った人々こそが、地方創生のカギとなるだろう。

 

福本氏 活動 PICK UP

地域の清掃活動にも参加し、地元住民と積極的に交流している。

 

防犯委員として、小学校周辺でのパトロールに取り組む。

 

福本氏が経営する徳島市中心部にある「福本繊維」。

 

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