ファッションショーで浴衣を披露する長谷川奈央さん(右)と髙世翔太さん(左)。

日本文化の「和」を楽しむ「和ろうまつり」(主催:和ろうまつり実行委員会)がこのほど、東京都内で開催された。150人分の席は満席となり、盛り上がりを見せた。

この企画は、「ろう者、聴者、難聴に関係なく、日本文化の『和』を楽しんでいただく」ことを目的にしており、今回初めて開催された。

2時間あまりに及んだまつりの中では、ドラム演奏やちびっこによるダンス、アレンジした浴衣を披露するファッションショー、漫才、手作り着物の披露、寸劇など、さまざまなパフォーマンスが催された。パフォーマンスはすべて手話の通訳つきで行われた。

和ろうまつりには150人以上が来場し、大盛況となった。

NSPの長谷川さんと髙世さんも、モデルとして登場

その美しさで多くの観客の目を引いたのは、アレンジした浴衣と手作り着物のファッションショー。幸福の科学を母体とする芸能事務所「ニュースター・プロダクション」(以下、NSP)の長谷川奈央さんと髙世翔太さんも、浴衣ショーのモデルとして出演した(冒頭写真)。

着物を手作りしたのは、ファッションデザイナーを目指すトミ子さん。ゲストトークのコーナーで、トミ子さんは「着物には、個性や季節感のある柄もあれば、抽象的な花、動物など、季節を問わない柄もあります。着物は日本の伝統文化であり、誇りです。ファッションを楽しみたい方は、着物に挑戦してみてはどうでしょうか」と手話で語った。

〈左〉着物の素晴らしさについて手話で伝えるトミ子さん。〈右〉トミ子さんがつくった着物を披露する女性。

まつりには、NHKで手話ニュースを担当している那須英彰キャスターも駆けつけ、最後には、手作りの「和ろうハンカチ」のプレゼントなどもあり、大盛況に終わった。

「ろうも、聴も、もっと和を楽しもう」

主催者の諏訪さん。

イベント終了後、主催者の諏訪翔太さんは、本誌の取材に応じ、「2年前から、聴者が主催者で、聴者とろう者の架け橋になりたいという目的の着物の企画があり、今回の関係者の半分が参加していました。『ろう者や老若男女と幅広い客層を楽しませるには、もっと別の方法があるはずではないか?』と思い、自分たちで企画しました」と手話で語った。

トミ子さん。

今回の企画を通して伝えたかったこととは、何なのか。トミ子さんは、「ろうの中にも、着物の文化を知らない方がたくさんいると感じていたので、『ろうの中に、着物の文化を広めたい』と思い、この会を立ち上げました。ろう、聴、関係なく、着物はつくれますし、着物の文化を誇りにしていることを、世の中に発信していきたいと考えています」と述べた。

あやのさん。

浴衣アレンジのショーに初めて参加したというあやのさんは、手話を使うお店で働いていたところ、客の一人に「出演してほしい」と声をかけられたという。「私は耳が聞こえる一般社会の中で育ったので、ろうの方とイベントを行うのは久しぶりでした。手話を使いながらフォローしあって、浴衣をアレンジしたり、メイクを考えたりして、とても楽しかったです。皆さんと信頼関係を深めることができました」と述べた。

奈苗さん。

同じく浴衣アレンジのショーに参加した奈苗さんは、NSPの長谷川奈央さんと一緒に、手話映画「明日のきみへ~幸せのスケジュールより~」(2018年3月公開)に出演した。「試写会の時に知り合った方から、声をかけられて、今回出演しました。これまでろうの他のイベントにも参加しましたが、『このグループに参加したい』と、諏訪さんにお願いしました」と語る。

手話が堪能なNSPの長谷川奈央さんは、「今春に出演した手話映画がきっかけで、手話を勉強するようになりました。ろうの方々も、みなさんとてもよい方ばかりで、手話にはまってしまいました。今回も、お声掛けをいただき、『ぜひ出演したい』と出させていただきました」と語る。

同じくNSPに所属する髙世翔太さんは、ろうのイベントには初参加。「出演者の方がとても楽しそうにしているので、私自身も楽しい気分になりました。初めて手話をやってみて、『手話ってこんなに楽しいんだ』と感じましたし、表現の仕方なども学びになりました。とてもよい経験でした」

長谷川さんと髙世さん。

最後に、「これからどのような活動をしていきたいか」という問いに対し、主催者の諏訪さんはこう語った。

「初めての企画で、次の展望はまだないのですが、お客様から、『次もやってほしい』という声があれば、続けていくことも考えてみます。その時は出演者の方にも、また依頼したいと思います!」