2011年1月号記事

幸福の科学総裁 大川隆法 対機説法 人生の羅針盤 No.167

シリーズ 戦後65年 日米安保と太平洋戦争の真実(2)

※対機説法……教えを聞く人の能力・素質にふさわしく法を説くこと。

【問】私は埼玉県在住ですが、子供たちは沖縄のインターナショナルスクールに通っています。

日米安保が万一、破棄されるようなことがあれば、沖縄、尖閣諸島、与那国島などは真っ先に危機に直面すると心配しています。その際に日本がどう動くべきなのか、対応の仕方をお教えいただければと思います。

2010年5月23日・幸福の科学東京正心館における質疑応答より


台湾の馬英九総統は親中派だったのに、今はかなり緊張が走っていて、万一のときに備え始めています。

日米安保がぐらつき始めたので、中国が台湾を本当に獲りに来るかもしれないと思い始めています。

彼らも、十分に条件を考慮して納得がいけば、中国の一部になることも考えるけれども、無理やり取られるのは、親中派であっても、あまり望んではいないのです。

韓国については、鳩山首相(当時)が「訪問したい」と言って何度も打診していますが、韓国の大統領が「来るな」と言って蹴っているのです。

「日米安保を鳩山が壊そうとしているではないか。日米安保が壊れたら、韓国はたちまち危機に陥る」ということです。

北朝鮮から攻め込まれたら、あっという間にやられてしまう可能性があるので、「日米安保を堅持しない鳩山は、訪韓許すまじ」ということで、韓国が入れてくれないのです。

これは、日本では、ほとんど報道されていないでしょう。

実際、鳩山さんは韓国に行きたくても行けない状況です。韓国の大統領は、日本のこの軟弱な政治指導を怒っているのです。

朝鮮半島では、まだ戦争が終わっていません。

三十八度線で休戦している状態なので、その気になれば一気に攻め込めるし、北朝鮮側にある砲門やミサイルの数からすると、ソウルに総攻撃をかければ、ソウルは一時間で火の海になってしまいます。

アメリカ軍の海兵隊は、台湾、韓国、あるいは沖縄などが攻められたときに、海から上陸していって守る最強部隊です。

韓国にはアメリカの海兵隊がいないので、日本の沖縄から海兵隊が海外に移転していなくなったりしたら、アメリカが韓国を守る戦力は、すごく落ちるのです。そのため、韓国の大統領は鳩山さんに対して、非常に不信感を持っている状態です。

アメリカは、普天間基地移設問題については最初から見切っている状態で、考え方は変えておらず、ずっと同じです。

日本が勝手に迷走して"阿波踊り"をやっている状態が去年から続いていると思っていて、どうせ最後は、どうにもならないことは知っているのです。

民主党政権は、何か少しだけでもいじって、自民党政権の案から変えたことにしたいのですが、滑走路を桟橋方式で海上につくるやり方では、上から爆弾を落とされたら穴が空いて、すぐに使えなくなります。

あるいは潜水艦やゲリラ部隊やテロリストが来て、橋げたに下から爆弾を仕掛けられて爆破されても、やられてしまうので、軍事的には非常に弱いのです。

「珊瑚礁が大事だ」などと言っていたのでは、簡単にやられてしまいます。滑走路が使えなくなったら、飛行場は意味がありません。ですから、桟橋方式など最初から話にならないとアメリカ側は思っているのですが、民主党政権は素人考えで、ああだこうだと一生懸命に言っており、見苦しい姿をずいぶん見せられました。


幸福実現党は後手後手の民主党政権に方向性を示していく

日本は、ここ六十五年の惰眠を貪ってきたので、それほど簡単にはいかないと思いますが、少なくとも、幸福実現党が一定の方向性を示していることによって、多数のマスコミが、だいぶ便乗してきて、同じ方向に動いているような面もあるかもしれません。

民主党政権は、やることが後手後手になると思うので、そのつど意見は言うつもりでいますが、いきなり核戦争からは始まりません。通常レベルのものから普通は始まるのです。国の境界線のあたりで揉めているところを、突如、中国が「ここは中国の固有の領土だ」と宣言して実効支配するようなことから始まります。

そのときに、自衛隊が動けるか動けないかということです。安倍元首相のような人のときであれば動くと思いますが、今であれば、たぶん動けないでしょう。

韓国が「北朝鮮に魚雷で撃たれた」と言って国連安保理に提訴しても、中国がノーですから、国連は全然使えない状況なのです。中国が北朝鮮と水面下でつるんでいるので、国連は解決してくれません。やはり、どこかで誰かが毅然として立ち向かわなければいけないでしょう。

われわれは今のところ、政治的な勢力としてまだ十分ではないので、思想・言論が中心ですが、それでも、一つの拠りどころにはなりつつあります。当会が言ったことによって、お墨付きが与えられて動けたりします。民主党の内部でも、中堅層あたりに、当会の政策のパクリ専門の人がかなりいらっしゃるようで、当会が言っていることを、しばらくしたらやり始める傾向があります。

幸福実現党としては少し悔しい面もあるけれど、こちらの政策が実現されるなら、それはそれでいいところもあるかもしれません。民主党の一年前の公約を、かなり押し戻してきたところはあると思います。

ただ、経済的に緊密な関係にあっても、軍事になったら急に話は変わるというのが国際社会のルールです。中国では、今まだ、胡錦濤が軍部を完全に掌握していないのです。普通は、国家主席が軍部も全部掌握していくことが多いのですが、まだ、その前の江沢民派が軍部の主力を三分の二ぐらい握っているので、胡錦濤の言うことを聞かないのです。軍部だけで、けっこう独自に演習をしたり、上陸作戦を立てたり、勝手にやっています。そのへんに少し怖いところがあるとは思います。


「米中同盟」という最悪の事態を避けるために

今後についてですが、軍事力のレベルや技術力は、やはりアメリカがいちばん進んでおり、ここと仲良くするのが時間的にも経済的にもいちばん早いので、アメリカとの関係は崩さないというスタイルがいいでしょう。

簡単に別れたりしないで、「まあまあ、そうおっしゃらずに」という感じで、頑張って粘らないといけません。

同時に、万一の最悪の事態としては、「米中同盟」ということもありえます。

突如、電撃的に米中同盟を結ばれたときには、日本はお手上げです。もうどうにもなりません。日本は憲法の改正もできない状態ですから、どういうふうに処理されても、何も言えません。

オバマ大統領はそこまではやらないと思いますが、ヒラリー・クリントン氏が大統領だった場合を想定すると、米中同盟はありえたかもしれないという感じはします。

彼女は今、日本の外務大臣にあたる国務長官ですが、この人は頭がいいから数字で判断するので、「だって、中国は日本の十倍の人口があるんでしょう? 将来的に経済はこちらが大きくなるんでしょう? じゃあ、中国と結んでおいたほうが有利ではないですか。日本は言うことを聞かないし、誰が意思決定をしているのか分からない。相手にしていると頭がおかしくなってくるから、もうあんな国は相手にしないで、米中で大人同士の付き合いをしましょう」と、突如パーッとやってしまうことがあるので、怖いのです。

これをさせないためにも、米軍基地への反対運動を大きくするのは危険なことです。

あんなに反対運動の報道ばかり、たくさん流されたら、アメリカは「もう日本の民意が離れた」と見て引き始めます。

あれでは、米中同盟を結ばれても文句が言えなくなります。

「アメリカは中国と結んだほうが、経済の立ち直りが早い」という考えもあるわけです。

ですから、あまり反対運動を大きくしないほうがいいのと、日米同盟をきちんと守っておいたほうがいいということ。

また、万一のときのために、近隣のインドやロシア、オーストラリアその他、いろいろな国と、できるだけ交流を深めておくことが大事だと思います。

アメリカはアフガン戦争をやっていますが、アフガンで失敗した場合は、次の段階でインド・パキスタン紛争が起きてくる可能性があります。それから、イランとイスラエルの戦争です。

イランの大統領は、イスラエルを地上から消滅させることを目標に掲げています。

この二つの紛争と、さらに次の火種もあるので、まだ戦争の種がなくなることはありません。


中国はバブルの崩壊を経験することで謙虚になる

日本の自衛隊は、何か発言をすると、すぐトップがクビになるところですので、やはり政治家が責任を取らなければ駄目です。

民主党もひどいけれども、自民党政権のときも、田母神氏のような人が「日本はいい国だ」という論文を書いたら、防衛大臣からすぐに更迭されたぐらいなので、これでは国を守れないのは明らかです。

今の状態では、民主党も自民党も両方駄目です。

そういう意味で、多少悪者になるかもしれませんが、幸福実現党が、やや強めの意見を言っているということはあります。

時間的な問題は政治状況と連動します。

民主党政権が今のまま長引くのであれば、最後は、どうしようもありません。

長期政権にならないことを祈るような気持ちです。

幸福実現党に、早く、ある程度の政治的な力をいただけたらありがたいのですが、まだ国民の大部分は、この本に出てくる丸山眞男の考え(注)のほうが正しいのではと考えるようなレベルではないかと思います。

宗教的な意識改革の戦いと、政治的な改革を同時にやらなければいけないので、つらいものがあります。

世間は幸福実現党について、「宗教が応援している政党だ」ということで、しばらく様子を見ている状況なのかもしれません。

安全な宗教かどうかを見極めるのに十年ぐらいかかったりするので、厳しいとは思います。

私は最近、「もうマスコミも駄目だ。使命を果たしていない」と感じています。

彼らは政権を攻撃したりはするのですが、本腰が入っていないところがあり、自分たちの間違いを認めたくないところがあります。

今のマスコミの上層部も、いわゆる安保世代の人たちなので、自分たちが若いころにやり損ねたことをやってしまいたい気持ちがあり、それで民主党政権を応援しているところがあるのです。

ただ、今後の読みとしては、中国は自信を持ってくるでしょうが、私は今、「中国にバブル崩壊を起こそうかな」と考えています。

中国は経済が十パーセント成長を続けていて慢心しているので、一回、バブルが破裂したら謙虚になるのではないかと思い、バブルの破裂を天上界にて計画中です。

そうすれば中国も、もう少し謙虚になるでしょうし、それによって時間が稼げたら、その間に対策がもう少し進むかもしれません。

(注)『日米安保クライシス』(大川隆法著・幸福の科学出版)のなかで、政治学者・丸山眞男の霊は、自分が死んだことに気づかないまま地獄で迷っており、「宗教は政治の舞台で表に出るものではない」などと述べている。