《本記事のポイント》

  • 全国各地で公開討論会が中止に
  • 東京では新人の幸福党候補が討論会に呼ばれない事態も
  • 立候補者が主張する場が確保されることが大事

今回の衆院選では、新党が乱立し、似通った政策を掲げる政党も多く、投票先に迷う有権者は多いだろう。立候補予定者の話を直接聞いて、投票したいと思う人もいるが、その流れに水を差す事態が起きている。

全国各地で公開討論会を実施している日本青年会議所の集計によると、全289選挙区のうち、少なくとも29の選挙区で、討論会が中止。開催されたのは、61選挙区にとどまってるという。16日付毎日新聞が報じた。

公開討論会は、選挙に先立ち、有権者の前で政策や地域の課題などを広く議論する重要なイベント。活発な議論が交わされることで、有権者は投票の際の参考材料とする。

全25選挙区のうち、5つの選挙区でしか公開討論会を開けなかった東京青年会議所は、毎日新聞の取材に対し、「今回は政党や候補者がなかなか固まらず分かりにくかったからこそ、公開討論会でしっかりと政策を説明してほしかった。多くの候補者に出席を断られ、政策論争がないまま選挙戦に突入してしまった」と語っている。

幸福党を呼ばなかった討論会も

だが、その東京で、こんなことが起きていた。

4人が出馬している東京6区。東京新聞の動画説明によると、13日に開かれた公開討論会に、立憲民主党の落合貴之氏、希望の党の植松恵美子氏が登壇したものの、自民党の越智隆雄氏と幸福実現党の中岡茉妃(まき)氏は「欠席」したという。

ところが、中岡氏はツイッターで、「そもそも呼ばれていない」と発言。一体、どういうことか。主催者の東京青年会議所に問い合わせた。

――幸福実現党の候補者が呼ばれていないのは、なぜか。

「HPに載せていますが、規定により、お呼びしませんでした」(規定とは、「国会議員5人以上の国政政党の公認又は推薦のある立候補者」「国会議員経験者」「地方自治体の首長経験者」のいずれかに該当すること)

――他の青年会議所では、幸福実現党の方を呼んでいる。公平に扱っていないのではないかと、ネット上で指摘が起きている。

「東京ではそう判断したということです」

――さきほどの規定は、新人の立候補者が外れるように仕組まれていると言われてもおかしくない。

「その点については、何とも言えない。HPに書かれた通りです」

――何とも言えないというのは?

「広報では、HPに書かれたことしか言えません」

――やはり、不都合だと感じているのか?

「私としては対応しかねます」

何とも歯切れの悪い印象はぬぐえない。同団体のHPには、「公開討論会の運営にあたっては、特定の立候補予定者や政党、特定の主義・主張に偏らないよう、中立・公正な運営を行っており、より公正な情報を提供することを心掛けています」と記されているが、政界への新規参入を阻んでいると指摘されても仕方がない。

政策論争なき衆院選は、この国の未来を選ぶ上であってはならないことだ。しかし、その前提には、立候補者の主張が広く伝えられる場所が確保されていなければならないのは言うまでもない。

(山本慧)

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