《本記事のポイント》

  • GHQが政教分離を定め、戦後の左翼学者が「宗教と政治の分離」に拡大解釈
  • 政教分離の本来の意味は「教会と国家の分離」
  • 幸福実現党は宗教政党として、戦後体制に挑戦している

「政教分離の規定に反するので、宗教は政治に関わるべきではない」「宗教政党は憲法違反ではないか」――。

政治と宗教の関係について、こう考えている人もいるだろう。

しかし実は、こうした考えは戦後日本を統治したGHQによる「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」の副産物であり、戦後の左翼学者たちによる洗脳であることを押さえておきたい。

WGIPとは、戦後日本を占領したGHQが、日本人に「私たちは戦争犯罪を行った」という罪の意識を刷り込み、愛国心を削ぐため、学校教育や新聞・ラジオなどを通して行った情報宣伝計画のことを指す。当時、あらゆるメディアがGHQによる検閲を受け、情報に厳しい規制がかかった。

これに加えて、GHQは「神道指令」を発し、神道的精神を政治から除外しようと試みた。したがって、GHQが日本の文化や宗教に介入し、神道を敵視したことは確かである。

しかし実は、宗教そのものを政治から完全に分離しようとしたわけではない。

GHQすら意図していなかった「宗教と政治の分離」

1947年に施行された日本国憲法では、信教の自由について第20条でこのように規定された。

  • 1.信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
  • 2.何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
  • 3.国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

この規定により、「政教分離」が定まった。そしてこれを、宗教を否定する共産主義思想に傾倒した戦後の憲法学者が「宗教は政治に関わってはならない」と拡大解釈したのだ。

しかし、憲法20条の本来の意図は、憲法改正に関するGHQ側の記録から知ることができる。日本国憲法のマッカーサー草案作成を担当したマイロ・ラウエル氏が所蔵していた記録文書の中に、憲法20条の草案作成の会合の記録について、以下のように記されている。

「本条は、運営委員会により簡略にされ、修正され、信教の自由を正面から保障し(a straightforward guarantee of freedom of religion)、かつ『教会と国家の分離』(the separation of church and state)を規定するものになりました。」

つまり、政教分離の本来の意味は、宗教と国家の分離(separation of religion and State)ではなく、教会と国家の分離(separation of church and State)である。宗教が政治に関わってはならないというものではない。

これは、特定の宗派が優遇され、他の宗派が差別されることがないようにというもので、アメリカ合衆国憲法も掲げている内容だ。この憲法で、人権保障を規定している権利章典の第1条には、以下のようにある。

「合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律、言論または報道の自由を制限する法律、ならびに、市民が平穏に集会しまた苦情の処理を求めて政府に対し請願する権利を侵害する法律を制定してはならない」

アメリカ建国の歴史において、地域ごとに特定の宗派が優遇され、他宗派が差別、弾圧されてきた背景があるがゆえに、宗教の自由を保障するために加えられた項目だ。

ここからも、「宗教を政治から切り離す」という考えが拡大解釈であることが分かる。

戦後体制に挑戦する幸福実現党

そもそも、建設業界や教育業界など、さまざまな業界団体を代表している政治家はたくさんいる。それにもかかわらず、特定の宗教や信仰を持つ人々だけを政治参加させないのであれば、内心の自由、信教の自由、職業選択の自由の侵害となる。

また、信仰を同じくする人々が政党をつくることを禁じれば、結社の自由の侵害だ。「宗教が政治に関わってはならない」とするのは、憲法に違反していることになる。

GHQが推進した「政教分離」を、左翼の憲法学者が「宗教と政治の分離」と拡大解釈した。「宗教は政治に関わってはならない」という論理は、全体主義や共産主義と通じる考え方だ。

「宗教が政治を行えば、人々の自由がなくなる」と一抹の不安を感じる向きもあるかもしれない。

しかし、考えていただきたいのは、このままいけば、私たち一人ひとりの自由はなくなっていくばかりであるということだ。

幸福実現党は2009年の立党当初から「宗教立国」を掲げ、「人々の自由を守り、幸福を実現する」ために、国防の強化や減税などの政策を訴えてきた。個人には手出しのできない部分で自由が奪われていくことへの危機感があり、立党は宗教的使命感に基づくものだった。

一体、どのような政策を掲げる政治家を選べば、人々の自由が広がり、人々の幸福を実現できる国ができるのか。戦後の「政教分離」という色眼鏡をはずし、白紙の目で見るべき時が来ている。

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