北京が誇る国際的なビジネス街の国貿エリア。右に見える奇抜な建物が中国中央電視台(CCTV)の本社。

2017年11月号記事

突撃ルポ

偽物市場/ゴーストタウン/ゾンビ企業

中国経済の幸せな未来

習近平は世界恐慌を防げるか?

世界第2位の経済大国と言われる中国。大きなビジネスを展開できる一方で、バブル崩壊が近いともささやかれる。現地を訪れ、中国経済の幸せな未来について考えた。

(編集部 大塚紘子、小林真由美、片岡眞有子)


contents


Contents

ルポ

中国経済が持つ2つの顔 → p.26

インタビュー → p.34

評論家・宮崎正弘

産経新聞論説委員・田村秀男

未来予測

中国が抱える4つの"時限爆弾" → p.38

解決策

幸せな未来のための解決策は「自由」 → p.42

突撃ルポ

中国経済が持つ2つの顔

中国経済の実態に迫るために、首都・北京、貿易の一大拠点・天津、そして鉄鋼と石炭の生産地・唐山を訪れた。

Beijing 北京

東京から飛行機で4時間。14億以上の人口を抱える中国の首都・北京は、さすがにどこも混雑している。

早朝、電車の切符を買うために長蛇の列に並んでいると、当然のように「横入り」され、なかなか順番が回ってこない。以前、中国を訪れた際、知人が「中国は『己優先社会』だから、ルールを守る方がバカを見る」とこぼしていたことを思い出す。

世界の大企業が集まる中国

国内外の金融機関の本社が集まる「金融街」は、出勤する人々でごった返していた。巨大なオフィスビルが競い合うように建ち、ここで巨額のチャイナ・マネーが動いていることを感じさせる。

外資系企業や高級ホテルなどが林立する商業エリア「国貿」に地下鉄で向かう。

北京の地下鉄は意外なほど快適で、本数も多く便利だ。各地でいくつもの新しい路線が猛スピードで建設されており、毎年路線図が変わるらしいが、運賃は日本円で数十円と激安。これで採算がとれるのだろうか。

「国貿駅」を出てすぐ外に見えるのが日本のNHKにあたる、中国中央電視台(CCTV)の本社ビル。その奇抜な外観は、市民から「巨大パンツ」と冷笑されている。向こう側が見える設計のビルは、観るには珍しくていいが、中で仕事をするとなると落ち着かない気もする。

近代的なビルが建ち並び、いたるところに開発中のエリアがある北京の街並みからは、世界各国の企業が、消費意欲旺盛な中国市場を狙い、こぞって進出してきていることがよく分かる。

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Tianjin 天津

Tangshan 唐山