毎日早く帰れて、給料が上がったらいいなぁ。

そんな都合のいい要望を叶えてくれるかのように、政府主導の「働き方改革」では、企業に賃上げを要求したり、厚生労働省がブラック企業リストを公表したり、月末の金曜日には午後3時で仕事を切り上げる「プレミアム・フライデー」を推奨したりしています。

しかし、これではまるで「働かない改革」。

働いて何らかの価値を生み出さなければ、日本経済が上向くこともなく、結局は、労働環境も良くならないでしょう。本当の「働き方改革」とは、仕事の生産性を上げ、生きがいを見出して働けるようにすることではないでしょうか。

幸福の科学では、人生の悩みに答える宗教的な教えのみならず、仕事や経営の指針となる教えが数多く説かれています。そこで、本欄では、仕事に役立つ幸福の科学の教えを紹介します。今回は、仕事の生産性や組織の力を著しく削いでしまう「嫉妬」について。

嫉妬の相手は姿を変えた○○像

大した実績もない同期が先に昇進した。同じような仕事をしているのに同僚だけほめられる。やたら仕事ができる後輩が入ってきた……。そんなとき、「嫉妬の炎」がメラメラと心の中に燃え始める、というのはよくある話。

しかし、四六時中そのことばかり考えていては仕事の効率も上がらず、"実力行使"に踏み切って相手の足を引っ張るようになれば、組織全体の仕事にもマイナスになります。おまけに、嫉妬するほうもされるほうも幸せではありません。

なぜ、このような嫉妬の心が生まれてしまうのでしょうか。

この点について、大川隆法・幸福の科学総裁は次のように述べています。

人間は誰に対しても嫉妬をするわけではありません。そうではなくて、自分が最も強い関心を持っている方面で優秀な人に嫉妬心を持つのです。例えば、みなさんが『サッカーの選手になりたい』と強く願っていれば、自分よりサッカーの上手な人を見ると、嫉妬を感じます。しかしながら、『サッカーの選手になりたい』と思っている人が、柔道の選手を見て嫉妬することは、あまりないのです 」(『真実への目覚め』より)

こうした見方をしてみると、嫉妬の相手が、単なる「憎い相手」ではなくなるのではないでしょうか。ここからが、幸不幸の分かれ道です。

本当は、表面意識下では実現を願っているにもかかわらず、目標になるべき方向にいる人に嫉妬することによって、みなさんは、その方向に進むことができなくなるのです。なぜならば、みなさんには、嫉妬をしている対象に対して、必ず、批判をし、悪口を言い、その人の欠点を指摘するようになる傾向があるからです 」(同)

自分が手に入れられないものを手に入れている人を見て、批判したり悪口を言う。ありがちな行動かもしれませんが、それが「自分の理想像」の否定につながってしまうということです。

人間は、自分が思い描いたとおりの人物像に近づいていきます。近年、「引き寄せの法則」などで有名になりましたが、潜在意識で考えていることがやがて実現していくというのは、宗教的にも真実です。

嫉妬は、表面意識では「こうなりたい」と思っている理想像を、潜在的に否定し、理想像からますます遠ざかってしまうという悪循環を生むわけです。

嫉妬は「狐色」がちょうどいい

しかし、分かっちゃいるけど「くやしい」「妬ましい」と思ってしまう。これをどう克服したらいいのでしょうか。

「みなさんが心に感じる嫉妬が、『本当は、この人のようになりたい』と思う人に対するものであることを、素直に認めることができたならば、嫉妬の心を抑えて、逆に祝福の心を持っていただきたいのです」(同)

「くやしい」という気持ちは、成長の原動力にもなります。嫉妬で苦しむか、成長に変えられるかのカギは「祝福の心」にありそうです。

また、大川総裁は、経営の神様と言われる松下幸之助の言葉を引いて、次のように述べています。

松下幸之助氏は、『嫉妬心は、狐色に程よく妬かなければならない』と、上手な言い方をしています。『真っ黒焦げ』になるほどに妬いては駄目なのです。しかし、まったく妬かないというのも駄目で、『きつね色に、こんがりと妬くのがよろしい。その程度にしなさい』と言っています。これも一種の中道でしょうか。珍しい説法ですが、『嫉妬心における中道』ということでしょう 」(アー・ユー・ハッピー2008年7月号「嫉妬心の怖さについて」より)

嫉妬を受けたら自分を知るチャンスととらえる

一方で、優秀な人の場合は、人に嫉妬されて嫌な思いをしたり、仕事で足を引っ張られて失敗することもあります。嫉妬された場合の対処法について、大川総裁は2つの観点で説いています。

人びとから妬みをかうということは、あなたがたの成功が、実は他の人びとの頭の上を押し付けた成功であるということなのだ。(中略)他の人びとに重荷を押し付けて、そして後の成功であったということなのだ。もし、あなたがたの成功が、他の人びとの荷物を持ち、他の人びとの生活を楽にし、他の人びとを幸せにしてゆくためのものであるならば、

あなたがたの成功は、決して他の人びとの妬みをかうことはないであろう 」(『仏陀再誕』より)

妬まれないようにするためには、『強みを知られないように隠す』という手が一つあります。控えめにして、相手に強みを見せないようにする方法もあるのですが、逆に、『妬んでいる者には、妬ませてやればよい』という考え方もあるのです。(中略)自分の強みは、もちろん、親友が知っている場合もありますが、自分があまり好きではないタイプの人や、あなたにライバル心を持っているような人が、意外によく知っていることが多いのです 」(アー・ユー・ハッピー2012年11月号「自分の『強み』を知るコツ(前編)」より)

誰かから嫉妬されていると感じたときは、自分を知るチャンスなのかもしれません。

嫉妬されない部分に成功のチャンスがある?

自分は人から嫉妬されるほど優秀ではない、という人には、大川総裁は、発想を転換することをすすめています。

人から嫉妬されないような部分が、実は成功のチャンスになることがあります。他の人から、『なんだ、そんなこと』『こんな裏通りに何がある』『あんな不器用な男に何ができる』などと思われたとしても、何十年も続けていくうちに、不器用さが大きな成功につながる場合があるのです。(中略)人の意見や時流などにとらわれず、自分がほんとうに求めるものを追求しつづけた人は、二十年後、三十年後に成功していることが多いのです 」(『常勝思考』講義より)

企業で働く人皆が嫉妬を克服し、成長の原動力にできたら、どれだけ生産性が上がるでしょうか。一つのひとつの変化は小さくても、もし日本全国の企業で同じようなことが起きれば、それは日本の「働き方改革」になるはずです。

(大塚紘子)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『真実への目覚め』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=47

幸福の科学出版 『仏陀再誕』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=175

幸福の科学出版 『常勝思考』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=164

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